研究課題/領域番号 |
21H03805
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
緒方 元気 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特任講師 (80452829)
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研究分担者 |
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70314317)
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
楠原 洋之 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (00302612)
椎木 弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70335769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダイヤモンドセンサ / 導電性ダイヤモンド / 分子鋳型 / 電気化学 / TDM / 分子標的薬 |
研究実績の概要 |
安心・安全な薬物療法を実施するためには、血中の薬物濃度と薬の効果や副作用を観察しながら投薬量をコントロールする必要がある。しかしながら、現在、多くの処方薬において臨床の現場で簡単、迅速に測定できる装置が存在せず、治療薬物モニタリングが困難な状況である。以上を踏まえ、本研究では、極微量の血液から薬の濃度を「その場で瞬時に」測定するハンディシステムの創出を目指している。 本年度は、利尿薬トリアムテレン、抗がん剤であるドキソルビシンや分子標的薬パゾパニブを測定象薬物とし、それらをダイヤモンド電極センサにて感度良く計測するため、最適なサンプルの前処理方法や電気化学測定法を探索した。さらに、これらの薬を尿中や血漿中に溶解したサンプルを作成し、測定可能であるか検証した。 検討の結果、これらの薬物を含む血液や尿サンプル測定前の処理方法として、除タンパク処理液、遠心分離法の最適化を通して、サンプル採取から測定完了までの時間は、8分以内と短時間を実現した。 また、センサの薬物選択特異性を付加するために、ドキソルビシンの分子鋳型を作成した。作成した分子鋳型は、pH7.4条件下で、ドキソルビシンに対して特異的に吸着することを確認した。さらにこの分子鋳型は、特定条件にて吸着したドキソルビシンを分子鋳型から排出する。また、放出後は再度ドキソルビシンを吸着可能である。これにより、本分子鋳型は繰り返しの使用の可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、測定サンプル調製方法の確立と、分子鋳型を用いた各種薬物に対する測定方法の最適化を計画していた。無修飾のダイヤモンドセンサを活用した薬物計測の計画は、順調に進んでいる。また、薬物に対する特異性の向上を目指したドキソルビシンに対する分子鋳型の作成にも成功した。しかしながら、作成した分子鋳型の評価と実装を今後進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
新たな標的薬物に対する分子鋳型の作成により、センシング可能な薬剤種の増加を進める。さらに、作成した分子鋳型の評価と実装や、測定実サンプルである血液の前処理方法の更なる最適化を検討する。 上記の計画を進めつつ、簡便に測定可能な、ハンディー型測定器のプロトタイプの開発に着手する予定である。
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