研究課題
本年度は、細胞膜結合型双イオン性リポペプチド((EK)4-KK脂質)修飾mRNA封入脂質ナノ粒子(KK-mRNA/LNP:Lipod nanoparticle)を用いたデザイナー樹状細胞の開発を行った。(EK)4-KK脂質の修飾率は3mol%とした。KK-mRNA-LNP の粒子径、ゼータ電位、PDI、mRNA封入率は、約123 nm、1 mV、0.175、92%であり、ほぼ中性の均質かつ高品質なナノ粒子製剤であった。マウス樹状細胞由来細胞株DC2.4細胞において、KK-mRNA-LNP では、mRNA-LNPに対して約85倍ルシフェラーゼ発現量が増加し、蛍光タンパク質ZsGreenの発現はより広範囲で認められた。細胞結合性について、KK-mRNA-LNP では3時間後まで経時的に結合性の増加が認められ、発現の増強に細胞結合性の寄与が大きいことが示唆された。加えて、KK-mRNA-LNP は、mRNA-LNPと同様に細胞毒性は示さなかった。また、抗アポトーシス効果を示すbcl-2 mRNAの樹状細胞へKK-mRNA-LNPでの導入により細胞障害性の軽減がみられた。よって、(EK)4-KK脂質が効率的なデザイナー樹状細胞医薬を創出するために有用な材料となり得ることが示された。また、細胞内動態制御機能を有する新規機能性脂質(X-脂質)を含有する、X-mRNA/LNPは未修飾mRNA/LNPに比べて有意に高いin vitroならびにin vivo発現能を示した。そこで、OVA mRNAによる評価を行った。X-OVA mRNA/LNPは、OVA mRNA/LNPに比べて高い血清抗OVA抗体産生能を示した。以上、有効なデザイナー樹状細胞およびmRNAワクチン用LNPの創成において有益な新規リポペプチドの開発に成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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