研究課題/領域番号 |
21H03819
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
首藤 敬史 大分大学, 医学部, 講師 (60649763)
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研究分担者 |
穴井 博文 大分大学, 医学部, 教授 (20291544)
中山 泰秀 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50250262)
和田 朋之 大分大学, 医学部, 准教授 (60325701)
岩井 良輔 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 講師 (60611481)
宮本 伸二 大分大学, 医学部, 教授 (70253797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 再生医療 / 大血管 / 移植 / 分枝 |
研究実績の概要 |
生体の皮下に光造形で作成した高分子製の鋳型を1ヵ月程度埋入させるだけで、完全に自己組織のみからなる自分用の移植用組織体が自動的に得られる画期的な再生医療技術「生体内組織形成術」(体内造形)を基盤として、それによって作成された複雑な形状の自己生体材料(分枝管)が高圧下で乱流が生じる環境で耐久性を有し臨牀応用できる可能性を証明する。今回は実際の臨床応用を想定し分岐管状の材料を得る鋳型の最適設計を行い、移植実験によって自己組織化し生着する再生能力、耐久性を調べ、待望の成長可能な「再生型自己代用分枝付き大動脈(バイオチューブ)」の安全な臨牀応用へと繋げる。今回単管バイオチューブをつないで分枝型にするのではなく、鋳型から取り出した段階で分枝型を目指した。T字型鋳型は円柱を組み合わせたものでは周囲組織との密着性が落ちバイオチューブ生成に支障があると考え、断面が楕円形の春巻き状鋳型を開発した。鋳型の溶接は極めて工学的に高度な技術を必要とした。また鋳型埋植後、分枝移行部位でバイオチューブの生成が悪くデザイン、溶接方法を複数回変えていくことで徐々にバイオチューブの生成がよくなった。次に取り出したバイオチューブでの弓部置換を行った。術後合併症で初期の4頭を術後5日、術後2週、術後6週と8週で失った。その後現在2頭(2か月、3か月)が生存中である。また術中の大動脈、腕頭動脈の血流量と圧データとCT画像データからコンピューターによる血流解析を現在外注にてすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分枝型鋳型の作成過程で溶接接合方法に高度な技術が必要であることが判明し、設計そのものを変える必要が生じてた。また鋳型埋植後もバイオチューブ生成が不十分でさらなる改良を余儀なくされた。このように鋳型からの良好なバイオチューブを得るのに時間を要したのが第一の理由である。またヤギでの脳分離体外循環を用いての弓部置換は難易度の高い手術で、術後合併症等が頻発し早期に個体を失うこととなってしまったことが第二の実験計画の遅れを生じた理由である。
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今後の研究の推進方策 |
鋳型が確定し、安定したバイオチューブができるようになり、弓部置換モデル作成にも習熟してきたので今年度は複数の同種移植モデルをさらに4頭作成、後半には豚で作成したバイオチューブを脱細胞して用いる異種移植モデルを6頭作成していく。それらを移植後6か月、1年で安楽死させ、バイオチューブの形状変化を確認、組織学的分析を行う。またコンピューター解析との照らし合わせにより、大動脈ストレスが形状変化、組織変化に影響を与えているかを検証する。異種モデルの取り出しは来年度になると思われる。
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