研究課題/領域番号 |
21H03830
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
川添 直輝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (90314848)
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研究分担者 |
陳 国平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50357505)
吉冨 徹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20585799)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 足場材料 / 幹細胞 / 細胞増殖因子 / 分化誘導因子 / プログラム制御 |
研究実績の概要 |
本年度は、空孔サイズおよび連通性を制御した多孔質足場材料を作製し、軟骨細胞や間葉系幹細胞の接着、増殖、および分化を調べた。乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)多孔質体を犠牲鋳型として用いることで、多孔質足場材料の空孔連通性を制御した。具体的には、塩化ナトリウム微粒子を空孔形成剤として、PLGA多孔質体を作製した。ここで、塩化ナトリウム微粒子の粒径と仕込み重量比を変えて合計6種類のPLGA多孔質体を得た。得られたPLGA多孔質体をコラーゲン水溶液に浸漬した後、PLGA多孔質体を溶出させることにより、連通性コラーゲン多孔質足場材料を作製した。また、コントロールとして、犠牲テンプレートを用いずにコラーゲン水溶液を凍結乾燥し、多孔質足場材料を作製した。走査電子顕微鏡で観察したところ、PLGA多孔質体を用いて作製したコラーゲン多孔質足場材料は、鋳型を反映した空孔構造をもつことがわかった。一方、コントロールの多孔質足場材料では、連通していない空孔が存在していた。また、PLGA多孔質体を用いて作製したコラーゲン多孔質足場材料はいずれもコントロールに比べ高い力学強度を有した。連通性コラーゲン多孔質足場材料、コントロール多孔質足場材料で、それぞれ軟骨細胞および間葉系幹細胞を三元的にin vitro培養した。培養1日後、細胞核をDAPIで蛍光染色したところ、細胞は、コントロールに比べ、連通性コラーゲン多孔質足場材料においてより均一に分布して増殖した。また、生細胞・死細胞同時染色試薬で細胞を染めた。リアルタイム定量PCRおよび免疫染色により、それぞれ軟骨特異的な遺伝子の発現レベルおよび軟骨基質の産生レベルを調べた。その結果、これらのレベルは、主に空孔の連通性によって影響を受けることがわかった。以上の結果により、移植可能な大きな軟骨組織を再生するために必要な多孔質足場材料の要件が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度計画では、連通性の高い多孔質足場材料の作製とキャラクタリゼーション、足場材料を用いた軟骨細胞および間葉系幹細胞のin vitro培養と評価を計画どおりに実施し、研究実績の概要に記載の通り、必要な実験データを取得でき、順調に進捗している。さらに、次年度以降に計画していた「マウスを用いたin vivo評価」を本年度に前倒して着手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降に計画していた「マウスを用いたin vivo評価」を本年度に前倒して着手することができた。今後は、多孔質足場材料の設計パラメータおよび作製条件の最適化を行いつつ、マウスを用いた多孔質足場材料のin vivo評価実験をより推進したいと考えている。
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