研究課題
1.歩行視力は静止視力よりも低下したが,自由歩行と歩行速度を制御した条件間で有意な差はみられず,速度の違いは歩行視力に影響しないことが判明した.視線のばらつき量は静止時に比べて歩行時に増加し,歩行視力とY軸(垂直)方向のばらつきには負の相関を認めた.2.地域在住高齢者30名(74.6±5.3歳)を対象に,高(100%)・低(25%)コントラストの視標を用いて歩行視力と歩行速度を計測した.低コントラスト視標では,歩行速度と歩行視力との間に相関を認め,歩行速度が速いほど歩行視力は良好であり,歩行速度が遅いほど歩行視力は不良となった.3.2023年2月に栃木県県北A市在住の80歳469名に対し,眼疾病を含む新たなアンケート調査を郵送にて実施した.返答があった342名のうち,参加辞退者やデータ欠損者を除いた297名を解析対象とした.その結果,白内障および緑内障を有する者は有意にフレイルおよびプレフレイルの有症率が高値であった.4.地域在住高齢者の静的立位時の姿勢安定性や運動機能に及ぼす視覚要因を検討した.下方視は単純固視条件でも眼球運動負荷条件でも重心動揺を軽減させ,姿勢安定化をもたらし,アイフレイル高齢者では姿勢制御に対する視覚依存度が低下しており,日常視下のコントラスト感度が高齢者の動的バランス機能に関連することが判明した.5.起立・歩行・着座の動作を含む評価方法として開発されたTimed Up and Go test(TUG)と静止・歩行視力,コントラスト感度との関連を検討した.TUGはコントラスト100%および25%視標を用いた歩行視力と有意な相関を認め,歩行視力が低いほどTUGは高値を示した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本視能訓練士協会誌
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日本の眼科
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