研究課題
奨励研究
反応時間に基づく隠匿情報検査(RT-CIT)は、研究レベルでは多数の知見が報告されているにもかかわらず、ポリグラフ検査のように実務検査への適用例がないのが現状である。その原因の1つとして、従来のRT-CITにおける手続き上の制約が、実務への適用を困難にしていることが考えられる。本研究では、実務で使用されている質問法に対応可能な新たなRT-CIT手法を提案した。視覚的注意の実験手法を応用した手法について検討した結果、一部の条件において、反応時間から隠匿情報を推定することができた。
認知心理学
反応時間に基づく隠匿情報検査(RT-CIT)は、標準的なパソコンが1台あれば測定できるという費用面の利点に加え、記憶の有無がポリグラフ検査で測定している生理反応に反映されない者の取りこぼし防止、大人数に対する同時並行での検査、非接触かつ遠隔での検査など、ポリグラフ検査の実施が難しい事態に対応できる可能性を秘めていると考えられる。本研究成果は、犯罪捜査支援における心理学的手法の活用の幅を広げる1つの方向性として、RT-CITの実務適用について検討する上で重要な知見を提供するものである。