学校教育現場では,SDGs目標 15「陸の豊かさも守ろう」につながる取り組みの 1 つとして,森林の生態系機能や林業および木材利用の意義についての理解が進む森林環境教育が期待されている。そこで,本研究は,児童が森林に関心をもち森林の多面的機能やその保全の重要性を正しく理解できることを目的とし,次のような実践を計画してその効果の検討を行った。まず,対象を小学校第 5・6 学年とし,第 5 学年は社会科を第 6 学年は理科を中心とした,2 年間の教科横断型カリキュラムを編成する。そして,野外学習の 1 つとして,博物館,植物園等を活用した体験型授業を開発し,社会見学に位置付け,教科横断型カリキュラムに取り入れる。さらに昨今の社会情勢から,コロナ禍においても学習が停滞しないよう,効果的なオンライン型の学習を開発する。 研究の成果としては,森林環境教育に関わるオンライン型の学習の開発が進み,児童らの意識調査から概ね効果的な授業になったことが判断できた。そして,1年間を通した森林環境教育の効果を意識調査で検討したところ,森林保全に対する意識が高い結果となり,緑の循環を理解し,木材を利用しながら森を守るという意識を持つ児童が多くなったことが分かった。 課題としては,本年度はコロナ禍による臨時休校や分散登校が行われたり,授業の実施方法に様々な制約ができたり,社会見学等の校外活動の中止・変更があったりしたため,「教科横断型カリキュラムの実施」,「野外活動としての社会見学の実施」の多くを計画通り進められなかった。このため,児童らが,森林に関心をもち森林の多面的機能やその保全の重要性を実感をもって理解できるようになるには不十分な実践になってしまった。
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