論文で成果を出すような研究活動において,国際共同研究は主要な手段となりつつある。国際共著論文数の増加が論文の引用数の増加に繋がり、被引用数が増加するとも言われている。国際共著論文を増やすためには何が必要なのかを明らかにするため、論文の詳細分析を行う為のシステムを構築し、そのシステムを用いて分析を行い、今後の国際共同研究推進、国際共著論文生産力向上の戦略策定に寄与することを目的とした。書誌情報は抄録・引用文献データベースから論文の詳細情報を取得し、その内容を検索するシステムを構築した。国別分析として共著相手国ごとに国際共著論文の数、その被引用数等の傾向を分析し、分野別分析として分野毎の論文数、共著相手国、相手機関の経時的変化を分析した。他に国際共著論文の共著者分析を行い、筆頭著者、責任著者等それぞれの所属、職位分析、同じ共著者での論文数分析、所属の地理的距離分析等を行った。また、国内の研究者の国際共著論文数の占める割合の職位別、機関別、分野別分析を実施し、海外では国際連携研究を進めるためには、どのような取り組みを行っているのかを国際学会にて情報収集及び米国URAへのヒアリングを行った。その結果、キーとなる研究が核となり、ハブとなり、分野によりネットワークが構築されて行き、それに伴い国際共著論文数も増加傾向にあることが示唆された。また、核となる研究にはトレンドがあり、主流の他に、突如脚光を浴びる研究も存在し、社会的情勢に影響を受けていることも示唆された。さらに高被引用国際共著論文を多数出版している研究者へインタビューを実施し、具体的な好事例を多数収集した。これらの事例に発展する基になる共同研究開始のきっかけ、共同研究の成果を国際共著論文として出版する際の補助金やURAの果たす役割も明らかになり、今後の大学の国際共著論文数増加のための戦略策定に活用されることが期待される。
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