本研究は、SDGs の目標「つくる責任・つかう責任」と「海の豊かさを守ろう」への行動化を小学校の授業で実現する為の教材の開発である。 低学年の子ども達が、佐志生地域や自然との関わりを考えたり、自分の身近な生活を見つめ直したり、自ら行動をしたくなる教材として、ヘチマたわしとスポンジたわしの比較体験に着目した。 生活科や総合的な学習でヘチマ栽培から関わり、ヘチマたわしを自ら生産し、主体的に活用すれば、SDGs の行動化を自らの問題として捉える問題解決学習への教材化が期待できる。プラスチック製品による身近な海ゴミを考える教材の開発に着手することは、海の豊かさを考える授業実践研究であり、教育的・社会的意義を有する SDGs を行動化する為の実践研究である。 検証授業では、主として、天然ヘチマたわしと人工のスポンジたわしとの比較体験を行った。低学年の子どもたちの感想から、両方のたわしの持つ良さと問題点について考えが生まれてきた。大きな決め手となったのは、佐賀県のヘチマ生産者とのZoomミーティングにおいて、天然ヘチマの良さ、人工のスポンジたわしに無い良さについて改めて理解ができたことと、自分の手で実感を伴った理解を通した学習の楽しさをつかめたことが大きい。また、子ども達は、地元の海に浮遊する海洋ゴミについて講師の先生から座学で学び、海の清掃船に実際に乗船したり、海洋ゴミを目の当たりにしたりするなどの直接体験や海洋ゴミの回収実験も行った。 3学期には、子ども達の作ったヘチマたわしの販売を「佐志生小学校学校運営協議会」のメンバー、「さしう振興協議会のメンバー」ら地域の方々の協力を得て、地域と共にある学校を目指すお祭りで販売を行う計画があった。しかし、オミクロン株の急拡大により、学校教育目標にある学んだことを「伝える」「広げる」については、次年度へ持ち越されることとなった。
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