学校と博物館施設との積極的な連携は新学習指導要領で示されているものの、コロナ禍において学校外施設に訪問する学習は全国の多くの学校で見合わせられており、積極的な運用が困難になっている。そこで、博物館施設から物理的に離れている学校でも「生物の多様性の理解」と「自然愛護」とを関連付けた授業を開発し、これらの博物館施設から離れた全国のどこの学校でも活用できる汎用性の高い学習コンテンツの開発を目指した。 中学校第3学年理科「生命の連続性」において遺伝的多様性の重要性について、「自然と人間」において、生態学的多様性や環境学的多様性の重要性について理解を深める授業を展開した。これらの学習と教科横断的なカリキュラム・マネジメントを道徳科で行い、道徳おける内容項目の「生命の尊重」と「自然愛護」に関する問題解決的な学習に取り組むことで、道徳的価値の質的な深まりを図る学習プログラムを考案して実施した。 大牟田市動物園と帝京大学の獣医師と理学療法を教授する大学の専門家の教員と連携して協議を重ね、令和3年12月17日、12月20日、令和4年3月8日の3回にわたるオンライン双方向型授業として実施した。事前学習として「動物福祉とは何か」を探究的に考え、福岡県の大牟田市動物園と学校をオンラインでつないで同園で展開されているモルモットやヤギを通じた動物福祉を伝える取り組みについて学んだ。さらに、高齢による前脚の変形性関節症で歩行が困難になっているヤギに対して歩行を補助する装具の作成や調整を行い,ヤギの生活を支援している帝京大学の取り組みについて知る学習を帝京大学 福岡医療技術学部と学校を展開した。一連の学習の後、生徒を対象にした質問紙調査を実施し、教育効果について検証した。 一連の学習を授業展開案等も合わせた学習プログラムとして構築することができた。今後学術学会等での発表を通じて公表していく予定である。
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