研究課題
本研究はAFM と有機合成化学を組み合わせてケモセレクティブなライゲーションを用いてタンパク質結合型のAFM探針の開発を行う目的とした。1.年度目標の一つとして、ポリペプチドとタンパク質結合型AFM探針の作製を行った。ジスルフィドを有する三脚分子を母骨格とし、先端にボロン酸グループを導入した新型分子を合成し、NMRや質量分析で分析した。本分子はポリペプチドと水溶液の中でも簡単に反応できる中間体である。これを用いて、先端に色々なポリペプチドと反応させ、ケモセレクティブなライゲーションを用いてタンパク質結合型のAFM 探針の開発を継続して行っている。2.既存の三脚分子をAFM探針に付けAnnexi 5というタンパク質を観察した。無置換のAFM探針よりもナノスケールでの分解能向上を期待していたが、現在のところ画像自体はあまり改善できなかった。AFM先端に三脚分子はどのようにして吸着しているのを解明する必要がある。3.そのため、AFM探針の最先端をAuコーテイングを行い、金コートした探針の先端に一つのAuの塊の面積をTEMで観察した。ところが、Auコートすることで先端が丸くなっていて従来の探針先端の鋭さが失われたことが明らかとなった。探針先端が金コートをしても鋭い方が望ましいことから、いつものスパッタコータより、電子走査顕微鏡で金コートした方がいいことがわかった。4.QCMを今年度に購入した。QCMを用いて面積が決まっているAu基板にどれくらいの三脚分子が付着できるのは計算可能である。QCMの結果によって、3番に記載している金コートした探針の先端に吸着する三脚分子を定量分析し、三脚分子修飾したAFM探針を用いてナノスケールの分解能向上が期待できる。また、たんぱく質とポリペプチドとの反応の定量化することもでき、純度の高いタンパク質結合型のAFM探針の作製が期待できる。
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Chemistry A European Journal
巻: 25 ページ: e202300455
10.1002/chem.202300455
ACS Applied materials & Interfaces
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