研究実績の概要 |
【目的】本研究では赤色レンコン根茎の着色促進技術の開発を目的として、UV照射・エセフォン処理が根茎の着色ならびに生育に及ぼす影響を調査した。 【UV照射試験】赤色根茎系統を供試し、九州大学附属農場の温室内にて栽培をおこなった。日中UV照射・夜間UV照射・無処理の3処理区を設け、UV照射区では根茎の肥大が始まる7月から日中または夜間にブラックライト蛍光ランプを用いてUV照射(12時間)をおこなった。栽培期間中は生育調査(葉数・草丈・葉面積)をおこない、8月および10月に根茎を掘り起こし、根茎の形態および着色を調査した。試験の結果、地上部の生育、地下部の生育および根茎の着色に処理区間で差はみられなかった。このことから、本実験におけるUV強度では赤色レンコンの生育と着色に影響を与えないと考えられた。 【エセフォン処理試験】赤色根茎系統を供試し、九州大学附属農場の温室内にて栽培をおこなった。培期間中は常に湛水状態を維持し、根茎の肥大が始まる7月から異なる濃度のエセフォン溶液(0,0.1,1.0mg/L)にて湛水栽培をおこなった。栽培期間中は生育調査をおこない、8月および10月に根茎を掘り起こし、根茎の形態および着色を調査した。試験の結果、10 mg/L区において葉数の増加、根茎の節数・分岐数の増加、肥大・着色の遅れがみられた。このことから、エセフォンは根茎の伸長を促進し、肥大を抑制する効果があると考えられた。赤色レンコンは伸長が緩慢になったのちに肥大と着色が始まるため、着色の遅れがみられたのは根茎肥大抑制の影響によると考えられた。 以上の結果から、UV照射・エセフォン処理による赤色レンコン根茎の着色促進効果は認められなかった。今後は、別な植物ホルモン処理等による着色促進技術の開発を検討する予定である。
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