より簡便な薬物の中枢移行性を予測する指標を開発することを目的とした本研究では、まずバンコマイシンとバルプロ酸の二つの薬物の中枢移行性を比較した。その結果、バンコマイシンは薬物の中枢移行性の指標となる髄液蛋白/血清アルブミン比との相関関係が認められたが、バルプロ酸は相関系を示さなかった。我々はこのバルプロ酸に着目し、バルプロ酸の髄液移行率と血清アルブミン濃度の相関を解析したところ、負の相関の傾向が認められた。バルプロ酸のような蛋白結合率の高い薬物の中枢移行性には血清アルブミンなどのタンパク濃度の変動が影響する可能性が示唆され、タンパク濃度に着目した中枢移行性予測の可能性を見出した。
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