本研究の目的はボリコナゾール(VRCZ)長期使用患者の血中VRCZ濃度の低下および血中VNO濃度の上昇が、VRCZの代謝酵素の自己誘導に起因する可能性について検討することである。最もヒト初代肝細胞に近いとされるHepaRG細胞にVRCZを長期間曝露させ、VRCZの代謝に関与する代謝酵素のmRNA発現量を比較した。VRCZ非添加群に比較して10 μg/mLの群ではCYP2C9の発現量が、100 μg/mLの群ではCYP3A4の発現量がそれぞれ経時的に増加した。しかし、VRCZ長期曝露による明らかな発現量増大や濃度依存的な発現量の増大は認められなかった。
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