研究課題
【目的】経口チロシンキナーゼ阻害薬であるオシメルチニブは、肺がん患者に広く使用される抗がん剤である。しかし副作用である下痢、皮疹、爪囲炎、肝機能障害、QT間隔延長、間質性肺炎などによって休薬・中断が余儀なくされる場合がある。本研究では、オシメルチニブの血中濃度と有害事象発生との相関関係を明らかにし、さらにオシメルチニブ体内動態関連遺伝子多型との関連についても検討を行った。【方法】非小細胞肺がん患者26名を対象とした。HPLC-UV法を用いて定常状態における内服開始後15日目の内服直前、内服後1、2、4、6、8、12、24時間後の血中濃度を測定し、薬物動態パラメータを算出した。下痢や皮疹、肝機能障害などの副作用発現状況を調査し、オシメルチニブ血中濃度との関連について検討した。またPCR-RFLP法を用いて、ABCトランスポーターABCB1(C3435T、G2677T/A、C1236T)多型、ABCG2 C421A多型、CYP3A4およびCYP3A5遺伝子多型解析を行い、オシメルチニブ血中濃度との相関について検討した。【結果】対象患者26名のうち、80mg/日が25名、40mg/日が1名であった。下痢、ざ瘡様皮疹、肝機能障害の発現率と血中濃度パラメータ(AUC0-24/D、C0/D)との間に有意差は認められなかった。CYP3A5*3/*3患者において*1アレル保有患者と比較しAUC0-24/D、C0/Dはそれぞれ高い傾向にあったが有意差は認められなかった。AUC0-24/Dにおいて、ABCB1 2677G>T/A遺伝子多型間において有意差が認められた。その他遺伝子多型間において有意差は認めなかった。現在以上の内容で論文を作成中である。さらに今後は症例数を増やし、オシメルチニブの血中濃度に影響を及ぼすその他サイトカイン等の遺伝子多型の影響について検討する。
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Biology
巻: 10 ページ: 1054~1054
10.3390/biology10101054