本邦は海外に比べ多剤併用の割合が高く、薬物相互作用に基づく副作用が発生する傾向が強いとの調査結果がある。しかしながら、抗精神病薬の多くは特定薬剤治療管理料の対象になっておらず、TDMが行われていない現状にある。また、実臨床において、精神症状と抗精神病薬による副作用との鑑別が困難な症例など、 治療効果と副作用に関して客観的な評価指標が求められている。 本研究で開発した抗精神病薬の血中濃度一斉分析法は、臨床現場における抗精神病薬のTDMに有用であることが示唆された。今後、抗精神病薬の血中濃度と効果や副作用との関連性の検証が進めば、統合失調症の薬物治療最適化に大きく貢献することが期待される。
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