研究課題
奨励研究
本研究では、研究対象となった統合失調症患者の約半数は、クロザピンの添付文書(医薬品の取扱説明書)で推奨されている1日複数回投与ではなく、1日1回投与していることが明らかとなった。クロザピンの推定ピーク濃度(最高値)および推定トラフ濃度(最低値)は、1日1回投与した場合と、1日複数回投与した場合で、有意な差はみられなかった。また、うつ/不安以外の精神症状やクロザピンによる自覚的副作用についても、1日投与回数の違いにより有意な差はみられなかった。
精神薬学
本結果は、臨床におけるクロザピンの1日1回投与の可能性や、臨床的有用性を暫定的に支持するものである。一般的に、医薬品の1日複数回投与は患者負担になり、飲み忘れにも繋がりやすいが、クロザピンの1日1回投与が可能であるなら、患者負担を軽減し、飲み忘れを減らすことができる。本研究の知見を再現し、投与方法と臨床転帰の因果関係を明らかにするために、さらなる研究が必要である。