研究課題
奨励研究
2015年4月から2020年12月の間に、手術前の呼吸機能検査が施行された脳実質腫瘍日本人患者128例を対象とした。呼吸機能検査手技は、日本呼吸器学会編呼吸機能検査ガイドライン(2004)を参考に定義し、検査結果波形や検査者からのコメントの有無などにより手技不良例を判定した。手技不良例は36例であった。呼吸機能検査手技不良に関連する因子を検討したところ、意識障害の有無が関連することが分かった(オッズ比:0.080、95%CI:0.022-0.298、p <0.01)。
生理機能検査
今回の研究では、呼吸機能検査手技不良は脳腫瘍による意識障害を反映している可能性があり、新たな評価項目となり得る可能性が示された。呼吸機能検査はポータブル検査機器も普及しており、あらゆる規模の医療施設で侵襲なく行うことができる。術前の呼吸機能評価を行うと同時に、スクリーニング検査として脳機能の評価にも有用である可能性がある。また、脳腫瘍部位と検査手技の関連は見出せなかったが、より詳細な部位での検討を今後行う予定であり、新規の脳機能局在が示される可能性がある。