【背景】炎症性腸疾患(以下 IBD)患者数は増加傾向にあり好発年齢は 10~30 代と若年者である。その為思春期に発症・診断されることも少なくない。2020年度の調査では10代のIBDと診断された子ども達(以下、子ども達)と医療・教育・デザインの専門職が協働し、学校生活を送る上での出来事や対処法等の体験談についてイラストを中心にまとめた「学校生活がよりよいものになるために」(以下、冊子)を作成した。本研究では、前回調査で特に学校生活において影響があったとされた学校行事にフォーカスをあて、子ども達から得られた実体験と共に各分野の専門職と検討し冊子の改定版の作成を計画した。又、既に作成している冊子の利活用について調査を行った。【方法】対象は、IBD と診断され、かつ A 病院外来に通院及び入院する 10~18 歳とした。研究参加への同意を得た後、冊子を手に取る前後に冊子及び学校生活について尋ねるアンケート調査を、又、患者参加型のワークショップ(以下 WS)を計画した。【結果】事前アンケートには 11 名、事後アンケートには 8 名から回答を得て、そのうち 4 名がWS に参加した。事前アンケートでは「診断後学校行事への参加」に変化があったかどうかについて 11 名中 7 名が参加しない等の影響があったと回答した。影響があった7名のうち6名が「疾患が要因である」と回答した。又、冊子に関し「発症から診断までの不安」及び「修学旅行」に関する項目で 8 名中それぞれ 3 名が最も共感したと回答した。【考察】子ども達は、学校行事の参加についても疾患が要因となり影響を受けるケースが複数あることがわかった。又、他者へ伝える視点でのWSへの参加や冊子は子ども達が自らの意思で周囲に病気を公表・理解を求める際に必要となる、自身の病気に関するリテラシーを高めることへの一助となったと考えられた。
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