PFDの浮力が障害となり、浮具直下に潜り込んだ児童の死亡事故が発生した。この事故の発生要因として、浮具直下に入り込んだ児童が、浮力により体の身動きが取れなくなったことが考えられる。本来、PFDの浮力は呼吸を確保するための安全を担保するためのディバイスである。その浮力の影響で、危険個所からの離脱が困難になることがわっかった。田村(2020年)らが行った「救命胴衣の浮力と水面に浮く浮下からの離脱に必要な牽引力に関する研究」では、水平方向に牽引した救助用ダミーにかかる力量を測定した。本研究では、PFDを装着した状態で浮具下から離脱するために、牽引角度を変えることにより離脱の力量に変化が生じるかを実験的に明らかにすることである。実験は水深1.2mのプールに、インフレータブル水上遊具 (縦200cm×横90cm×高さ12cm)を固定し、遊具直下にPFDを装着した幼児水難救助用マネキンを配置した。ダミーは3つの方向から電動ウインチを利用して各10回牽引し平均値を測定した。今回の結果から離脱の際に生じる力量には、牽引角度により大きな変化が生じた。また今後の課題とし要救助者と浮具に生じる摩擦力の計測が課題となる。
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