癌を患う人々は,悪液質およびサルコペニアのリスクが高く,これらは,より悪い臨床転帰と関連している.以前,第12胸椎(Th12)レベルComputed Tomography(CT)スライス上の骨格筋面積を第3腰椎(L3)レベルの骨格筋面積へ変換する推定式を開発した.石田らの式は,腹部および胸部CTを撮影した65歳以上の入院患者を対象とし推定式を開発している.一方,松山らの式では,口腔扁平上皮癌で40歳以上の患者を対象に推定式を開発している.しかし,特異的な疾患のある患者での妥当性の検証がまだ十分に行えているとは言えない.本研究では,既報の推定式で導いた筋肉量推定値を用い,癌で急性期病院に入院した患者のサルコペニア診断における有用性を検証した. 胸部および腹部のCTスキャンを受けた進行がん患者が含まれた(n = 173).CT画像の断面積(CSA)は、Th12レベルおよびL3のレベルで測定された。松山らの式はTh12のCSAを使用したが、石田らの式は脊柱起立筋のみをTh12のCSAとして使用した.そのため,測定は個別に実行された.予測されたL3のCSAと実際のL3のCSAの間の相関は、rとクラス内相関係数を使用して評価された.予測値の予測精度分析もした. 参加者の平均年齢は66.2±12.8歳,参加者の50.3%が女性で,49.7%が男性だった.2つの予測式から計算されたL3の予測値と測定値の間には,強い相関関係が観察された.松山らの式,および石田らの式の両方とも良好な信頼性を示した.低骨格筋指数に対する以前に報告されたカットオフ値を使用した予測精度分析では,石田らの式では感度が高く,松山らの式では,特異度が高かった.
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