これまでの時間的プレッシャーの研究において、制限時間の設定方法は研究によって様々であり、明確な基準が確立されていなかった。本研究では、制限時間の強度がエラー発生に及ぼす影響について、反応様式と制限時間の強度を操作したフランカー課題を用いて検討した。その結果、制限時間が300 ms以下の場合には速度と正確性のトレード・オフがみられるが、制限時間が350 ms以上の場合にはその現象がみられないことを明らかにした。この結果は、時間的プレッシャーと選択反応課題の研究における制限時間の設定基準として広く活用できる可能性があり、競技者の認知スキルを評価する基礎的なデータとして示すことができたと考えられる。
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