研究課題/領域番号 |
21H04339
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 晃一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70345239)
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研究分担者 |
根本 裕史 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (00735871)
早島 慧 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70801372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 瑜伽行派 / 唯識 / 阿毘達磨集論 / TEI:P5 / XML / カダム全書 / チベット仏教 |
研究実績の概要 |
『阿毘達磨集論』は5世紀頃にインドで著された文献で、仏教思想に関する術語を集め、大乗仏教の唯識思想と関連付けながら体系的にまとめている。この『阿毘達磨集論』はチベットに伝わり、チベット語に翻訳されている。このチベット語訳に対して、チベットでは十世紀以降、多くの注釈が作成された。それらは散逸したとされていたが、2006年、2007年、2009年、2015年の4回に分けて刊行された『カダム全書』に、チベット撰述の『阿毘達磨集論』注釈書が収録されていることが判明した。その数は総計11点となる。本研究では、これらの注釈文献のうち、9点について電子テキストを作成し、TEI:P5に準拠してタグ付けし、公開することを目指している。 2022年度は、チベット撰述の『阿毘達磨集論』注釈のうち、主要な二点について、入力作業を行った。 1. Chos mngon pa kun las btus pa'i tika shes bya thams cad gsal bar byed pa'i sgron me 2. Chos mngon pa kun las btus pa'i rnam par bshad pa gsal ba'i rgyan また、TEI:P5に準拠したXMLの構造化について再検討した。特にチベット文献特有のシノプシス構造の分析と並行して、より一般的な段落構造を表わす形式を導入できる仕様について模索し、両構造を併存させる方法について考察した。ただし、確定的な結論は得られていないため、今後も引き続き検討を要する。 また、こうした作業に関連して、『阿毘達磨集論』以外の文献についても調査する必要が生じたが、その際に瑜伽行派の思想、チベット仏教文化について、新たな知見が得られたため、それらを研究成果として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、研究期間の2年目にあたるが、9点の文献のうち、2点の文献の入力が完了しなかった。また、XMLによるマークアップの方針について検討したが、明確な結論を得るに至っていない。以上の理由で、当初の予定よりやや遅れていると言わざるを得ないが、マークアップの方針は拙速に決断するべきものではないので、やむを得ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
XMLのマークアップに関して、研究分担者との意見交換を通じて、より汎用性の高く、効率の良い仕様を検討する。
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