研究課題/領域番号 |
21H04345
|
研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
會谷 佳光 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50445714)
|
研究分担者 |
相原 佳之 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00634437)
中村 覚 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80802743)
宮崎 展昌 鶴見大学, 仏教文化研究所, 准教授 (70773729)
清水 信子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (80445709)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
キーワード | 『大正新脩大蔵経』 / 増上寺報恩蔵(酉蓮社) / 情報学(IIIF、TEIなど) / 漢文大蔵経編纂史 / 漢籍書誌学 |
研究実績の概要 |
2021年度は、『大正新脩大蔵経』底本・校本データベース(以下「本DB」)の一般公開、酉蓮社本のデジタル撮影、データ作成、書誌調査、本DBの周知活動に取り組んだ。 研究代表者會谷は、3社相見積もりで酉蓮社本の撮影業者を選定して、計15箱(全42函309冊)33,330コマのデジタル撮影を実施した。DB連携を行うSAT大藏經テキストデータベース研究会との連絡役を務め、新たに「宮内庁書陵部収蔵漢籍集覧」中の「[大藏經]1454種5733卷」(「備考」参照。所謂「宮本」)と連携させるためのリンク用データを作成した。また、これまで経典単位で公開していた画像データに対して、目次単位で書誌と画像データを紐付けるためのリンク用データの作成を行った。 研究分担者相原は作業人員を指揮してIIIF化作業を推進した。清水は大谷大学図書館所蔵の原本20点の書誌調査を実施した。中村は本DBの設計・構築・改修を進め、DB化作業のための助言を行った。宮崎は本DBの外部への周知に取り組み、會谷とともに他科研の研究会(「学会発表」参照)にて本DBの利用法を紹介するともに、仏教学者の視点から改善・利活用の方法等を提示した。 2021年6月に第1回研究打ち合わせを行い、本DBにGoogleフォームによるレビュー収集ページを組み込むなど改修を行った上で一般公開した(「備考」参照)。12月の第2回打ち合わせでは本DBの改修・拡張計画を検討して、2021年度に準備した撮影データや外部データベースとのリンク用データを取り込んで、2022年度の早い時期にリニューアル公開する方針を決定した。2022年2月には東洋文庫で開催した研究データベース会議にて、會谷、相原、中村、宮崎がそれぞれのテーマで報告を行い、質疑応答を通じて、有益な助言を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本DBの改修を行って、2021年7月に一般公開した。酉蓮社本のデジタル撮影・IIIF化作業が予定どおり進展し、SAT大藏經テキストデータベース研究会、および「宮内庁書陵部収蔵漢籍集覧」とのデータベース連携の交渉を行ってリンク用データの作成も順調に進んだ。しかし、コロナ禍の影響で、書誌調査が予定どおり進まず、2021年度は大谷大学で20点の書誌調査を実施しただけで終わった。また、TEIによるテキスト作成についてはまだ検討段階にあり、今後の課題となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
酉蓮社本のデジタル撮影・IIIF化が順調に進んでいるので、今年度も引き続き順調に進むようであれば、前倒し使用申請を行って、デジタル撮影・IIIF化を加速する。2021年度の成果を本DBに盛り込んで、2022年度前半にデータベースをリニューアル公開する。TEIによるテキストデータの作成方針を定めて酉蓮社本のTEIテキストを作成するともに、テキスト間の異同を機械的に抽出する自動校勘システムの開発を検討する。書誌調査は、會谷と清水が分担して、東京近郊は大正大学、関西は大谷大学を中心に原本調査を行って、書誌データを蓄積するとともに、本DBに連携させるための書誌データベースの構築を検討する。引き続き各自がそれぞれの専門的立場から、本DBを活用した成果を論文等の形で発表し、本DBの普及を進めるとともに、レビューを収集して改修計画に盛り込んでいく。
|
備考 |
會谷佳光「酉蓮社の明版大蔵経とデータベース化事業」(『浄土』八十八巻2・3月号、法然上人鑽仰会、2022年、17頁)
|