研究課題/領域番号 |
21H04372
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
縄田 浩志 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30397848)
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研究分担者 |
黒田 賢治 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 助教 (00725161)
渡邊 三津子 文教大学, 国際学部, 准教授 (10423245)
山下 俊介 北海道大学, 水産科学研究院, 特任助教 (50444451)
吉村 武典 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (70588772)
西尾 哲夫 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 教授 (90221473)
市嶋 典子 秋田大学, 高等教育グローバルセンター, 准教授 (90530585)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 長期現地調査資料 / デジタルアーカイブ / 文化遺産 / 合意形成 / 中東ムスリム社会 |
研究実績の概要 |
2年度(2022年度)は,本研究において扱う主な現地調査資料3セットのうち,(2)人文地理学者・農村社会学者,故大野盛雄によるイラン南部マルヴダシュト地方の村社会と地域経済に関する写真・地図・フィールドノート等の研究資料(1964-2007年)をもとにして,研究協力者らが中心となって『大野盛雄フィールドワークの軌跡Ⅲ:イラン革命のフィールドワーク 1975~1987年』(原隆一・南里浩子編,大東文化大学東洋研究所)をまとめあげた. また,研究代表者の所属先である秋田大学大学院国際資源学研究科附属の鉱業博物館において,初年度(2021年度)に研究代表者・研究分担者が共著論文7本を執筆した『片倉もとこ調査資料の研究』(西尾哲夫・縄田浩志編,国立民族学博物館調査報告153, 216p.)の研究成果をもとにして約50点の物質文化を展示しつつ,アラビア半島の衣服と装身具,すなわち衣装に焦点をあてて,半世紀前に現地で撮影された貴重な写真や文化人類学的な記録をてがかりに,貴金属としての銀や金の文化的,社会的また歴史的価値をつまびらかにする特別展「銀と金からみるアラビア衣装-カラフル,リバイバル,リサイクル」(2022年10月20日~12月23日)を開催した.ウェブサイトを通じて展示内容の概要を画像またテキスト情報として日本語のみならず英語で発信すると同時に,展示会場のVRまた主な展示物の3Dコンテンツを作成して,その記録内容と公開に向けての進捗状況について,中東ムスリム社会の関係者(研究者や被調査コミュニティのメンバー)との間で共有した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において扱う主な現地調査資料3セットについて,「被調査者参加型の社会プラットフォーム」としての活用が可能と判断した資料のデジタル化作業は順調に実施され,歴史的側面と地理的側面について最大限留意した認識枠組みについて議論も進んだ.その検証結果をもとにして,写真を中心とした現地調査資料の利用と公開に向けた学術資料アーカイブの諸課題が明らかとなった.その内容については,国際シンポジウム「Line Cultural Transmission against Collective Amnesia: Bodies and Things in Heritage Practices」(2022年11月5日~6日,国立民族学博物館にて開催)において研究代表者が「Portrait Rights Issues and Photographic Archives of the Motoko Katakura Middle East Collections」と題して口頭発表を行い,国内外の研究者からの有意義なコメントを受けることができた.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(2023年度)は,これまでの研究結果と中東ムスリム社会また日本の一般社会といった実社会との交流を踏まえて,中東ムスリム社会における長期現地調査資料の利用許諾と公開合意形成に基づくデジタル保存記録の「被調査者参加型の社会プラットフォーム」を構築する.「被調査者参加型の社会プラットフォーム」では,日本語・英語・アラビア語の多言語を用いて,日本の複数の研究組織のデジタルアーカイブをつなぎつつ,中東ムスリム社会においてはサウディ・アラビアの国立博物館等ともリンクしつつ,各国の被調査者が参加可能で調査者・被調査者の間で双方向のコミュニケーションが容易に促進される,デジタル保存記録の共有プラットフォームとしての技術的,法的また倫理的側面における具体的な課題を克服していく. そのために,新型コロナウィルス禍で難しかった現地を訪問しての打ち合わせや研究交流を活発化させつつ,サウディ・アラビア,アルジェリア,エジプト,イラン各国におけるフォローアップ調査も精力的に実施していくことによって,国家ごとの制度設計と中東ムスリム社会全体における標準化を両立させ,個の主体性が最大限に尊重される「文化遺産の共創」を目指していく.
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