研究課題/領域番号 |
21H04374
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 康弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (70222065)
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研究分担者 |
渡辺 満久 東洋大学, 社会学部, 教授 (30222409)
後藤 秀昭 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (40323183)
藤原 広行 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 総括主任研究員 (80414407)
森川 信之 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任研究員 (60414413)
先名 重樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主幹研究員 (90500447)
岩城 麻子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任研究員 (30770309)
奈良 由美子 放送大学, 教養学部, 教授 (80294180)
前田 宜浩 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任研究員 (00594160)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 活断層 / 強震動 / 地震防災 / ハザードマップ / ウランバートル |
研究実績の概要 |
新型コロナ感染症の蔓延により現地調査が困難だったため、国内研究に切り替えた。とくに熊本地震において地表地震断層近傍の強震動発生に注目し、メカニズム解明と地震防災への適用を検討した。予算を繰り越したため、2022年度上半期(および2023年度)の実施分を含めて以下に纏める。 活断層研究:2021年度は過年度実施のトレンチ調査結果を再検討し、モンゴル側カウンターパートによる独自調査結果についてオンラインで議論した。渡航解禁を待って2022年8月にウランバートル断層(UBF)北西部においてトレンチ掘削調査を実施。断層帯や変形している礫層中の黒色土を年代測定し、UBF北西部は後期更新世以降に活動している可能性が極めて高いことを明らかにした。 強震動予測研究:国内においてウランバートル市内の地盤構造モデルに関する既往成果を収集。既往の低地区分に関して、標高データを用いて見直しを行い、既往の微動観測地点における水平動/上下動比(H/V)スペクトルを用いてS波速度構造を調整した。ウランバートル市の河川沿い低地の浅部地盤モデルを作成し、今後の検討に備えた。 地震防災研究としては、市民向け防災啓発のフィージビリティ調査を実施した。先行して実施したホブド市での防災啓発手法の全国展開の可能性を検討した。①地域防災ボランティアの育成と組織化:2022年5月16日と同年6月6日にオンラインワークショップを開催。9月6日に現地渡航し、約100名が参加する市民防災ワークショップを実施。「防災ボランティア」を募り2023年3月6日に研修を行った。②子どもたちによる防災カルタの作成と教育実装:2022年2月21日にウランバートル市ナラン学校、5月11日にホブド市ツァストアルタイ学校で防災カルタ大会を実施しオンライン参加した。さらに、年9月5日に現地渡航し、ホブドで防災カルタ大会を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年8月までに、研究打ち合わせ、情報収集、現地調査(断層調査・情報収集・防災協議)を行い、2022年3月までに、衛星・地盤データ解析・啓発ツール作成、調査結果取りまとめ、調査グループ会合を行う予定であったが,相手国の新型コロナウイルス感染症予防対策のため渡航できず、現地調査分を2022年度に繰り越した。さらに、カウンターパートの事情により防災研究については2023年度に再繰越せざるを得なくなった。こうした繰越・再繰越を経て、ほぼ予定通りウランバートル断層の北部において新たに活断層である証拠を確認し、カウンターパートと強震動研究および地震防災研究についても協議を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査の実施に支障が無くなることが期待される2022年度においては、当初計画どおり、(1)UBFの重点調査(マッピング・掘削)、(2)地盤モデル作成および強震動計算準備、(3)衛星写真・標高データの準備(予察的判読)、(4)首都における防災啓発のあり方の議論を進める。コロナ禍においてもオンラインを通じてカウンターパートとは研究計画に関する議論が進み、また日本とモンゴルの両国内において、活断層の地震防災のための基礎研究を積み上げることができたため、共同研究の推進が期待できる。
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