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2021 年度 実績報告書

西アフリカ・サヘル地域の環境修復による地域住民の生業支援と平和貢献モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 21H04377
研究機関京都大学

研究代表者

大山 修一  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00322347)

研究分担者 中野 智子  中央大学, 経済学部, 教授 (70295468)
阪本 拓人  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40456182)
近藤 史  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (20512239)
桐越 仁美  国士舘大学, 文学部, 講師 (70793157)
原 将也  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00823147)
中澤 芽衣  高崎経済大学, 地域政策学部, 特命助教 (40845731)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2026-03-31
キーワードサヘル / 平和構築 / 民族紛争 / テロリズム / 砂漠化 / 環境修復 / ニジェール / 国際連携
研究実績の概要

本研究計画はニジェールの首都ニアメ市を対象とし、荒廃地の環境修復による農業生産の改善、民族紛争の緩和を進めることで、平和構築をめざしている。K村(コミューンIV)に1地点、1ヘクタール、L村(コミューンV)に1地点、8.8ヘクタールを新規に建設し、既存サイトのK村(コミューンIV)の1ヘクタールの修繕と、新規建設1ヘクタール、環境省やニアメ市の職員にむけた研修用の緑化サイトを整備し、すべての建設作業は完了した。各サイトはフェンスで囲んだうえで、雨季の降雨で汚水が周囲に流れ出ないよう、半月溝や長溝を設置している。コンゴ・ラバ村のサイトでは半月溝156本、長溝8本、ルッゴルのサイトでは半月溝757本、長溝24本を造成した。各サイトには、ガラス破片や医療用品などの危険物を埋設できるよう、穴(深さ1m)も掘り、危険物が埋設されていることを示す標識を立てている。
ニアメ市内で出てくるゴミの重量の7~9割は砂と剪定枝、家畜の糞、残飯といった農地に還元できるものである。多くの住宅地においてはゴミが多く散乱し、住民が衛生的な生活をおくることができていないという問題がある。また、ニアメ市は長期的な計画をもたず、その時、その場かぎりのゴミのダンピング(野積み)をつづけている。そして、農村の住人は食料生産の低下に苦しみ、毎年のように食料不足や飢餓に困っている有り様である。農村の住民は農耕民(ザルマ、ハウサ)であれ、牧畜民(フルベ、トゥアレグ)であれ、都市のゴミに高い土壌改善効果をもっていることを理解しており、都市ゴミの入手を強く希望している。
ローカルな人びとの希望を実現し、ゴミ処理に困っている都市と、ゴミの入手を切望している農村の住民をとりむすぶことが、本プロジェクトの意義だと認識している。ニアメ市における本プロジェクトの取り組みが、サヘル帯、日本およびグローバルなゴミの有効活用、環境の修復につなげていくことができると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ニジェール政府環境・砂漠化対策省やニアメ市、ニアメ大学、国立気象局と連携を強化することによって、環境修復による地域住民の生業支援と平和構築を進める実践的、かつ理論的な研究に進めることができている。

今後の研究の推進方策

ニジェール環境・砂漠化対策省による本プロジェクトの評価を受けつつ、ニジェール政府やニアメ市、ニアメ大学、国立気象局と連携を深めながら、研究活動と平和構築の実践、広報活動を積極的に進めていく予定である。

  • 研究成果

    (37件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 図書 (23件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] ニアメ大学/環境・砂漠化対策省/国立気象局(ニジェール)

    • 国名
      ニジェール
    • 外国機関名
      ニアメ大学/環境・砂漠化対策省/国立気象局
  • [雑誌論文] 「ガーナ国内における季節労働の実態:アッパー・ウェスト州からの州外移住に着目して」2022

    • 著者名/発表者名
      桐越仁美
    • 雑誌名

      『国士舘人文学』12

      巻: 54 ページ: 41-64

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Trans-region Movement of Seasonal Labour in Ghana: Settlement Formation of Populations in the Upper West Region and Trade Network.2022

    • 著者名/発表者名
      Kirikoshi, H
    • 雑誌名

      ASC-TUFS Working Papers

      巻: 2 ページ: 179-204

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 宮城県名取川下 流域における堤外地空間の利用と管理2022

    • 著者名/発表者名
      原 将也・横山貴史・宇津川喬子・伊藤徹哉・島津 弘
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 61 ページ: 15-28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 斎藤 幸平『人新世の資本論』集英社新書をどう読むか2022

    • 著者名/発表者名
      井口克郎・岩佐卓也・太田和宏・原 将也・加戸友佳子・浅野慎一
    • 雑誌名

      神戸大学大学院人間発達環境 学研究科研究紀要

      巻: 15(2) ページ: 189-209

  • [雑誌論文] 西アフリカ・サヘルのシロアリによるプラスチック製サンダルの「摂食」行動2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 雑誌名

      日本沙漠学会第32回学術大会 講演要旨集

      巻: 32 ページ: 30-31

  • [学会発表] 西アフリカ・サヘルのシロアリは廃棄サンダルの何を食べているのか2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第58回学術大会
  • [学会発表] 西アフリカ・サヘルのシロアリによるプラスチック製サンダルの「摂食」行動2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      日本沙漠学会2021年第32回学術大会
  • [学会発表] アフリカ農村の生活は貧しいのか2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      阪神シニアカレッジ
    • 招待講演
  • [学会発表] アフリカにおける砂漠化の問題とその対処法2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      阪神シニアカレッジ
    • 招待講演
  • [学会発表] 西アフリカの人口増加とテロの問題2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      阪神シニアカレッジ
    • 招待講演
  • [学会発表] ゴミと家畜で砂漠を緑化する!―都市文明の持続性を考える2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 学会等名
      河合塾文化講演会シリーズ
    • 招待講演
  • [図書] 家庭ゴミを使って砂漠化した荒廃地の緑化にいどむ!『図説地理資料 世界の諸地域NOW2022』(高校 地理 資料集)2022

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      105
    • 出版者
      帝国書院
  • [図書] 専門家ゼミ アフリカで進むランドラッシュ(農地収奪).『新詳地理資料COMPLETE2022』(高校 地理 資料集)2022

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      帝国書院
  • [図書] ゴミの価値化と「アフリカ潜在力―大量消費社会において忘れられた物の「生命」とその生まれ変わり」松田素二・フランシス ニャムンジョ・太田至編著『アフリカ潜在力が世界を変えるーオルタナティブな地球社会のために』2022

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      34
    • 出版者
      京都大学学術出版会
  • [図書] Waste valorisation and African Potentials: The forgotten life of things and their rebirth in mass   consumption capitalism. Ohta, I., Nyamunjoh, F. B., and Matsuda, M. (eds.) African Potentials: Bricolage, Incompleteness and Lifeness.2022

    • 著者名/発表者名
      Oyama, S.
    • 総ページ数
      27
    • 出版者
      LANGAA Publishers
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その34:コロナ禍におけるプロジェクト活動―新型コロナ感染症の対策をどうするか2022

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] 『グローバル化による環境・社会の変化と国際連携』2022

    • 著者名/発表者名
      西川可穂子・中野智子
    • 総ページ数
      36
    • 出版者
      中央大学社会科学研究所研究叢
  • [図書] 「第1章 モンゴル国の気候変動と草原の変化」西川可穂子・中野智子 編著『グローバル化による環境・社会の変化と国際連携』2022

    • 著者名/発表者名
      中野智子
    • 総ページ数
      36
    • 出版者
      中央大学出版部
  • [図書] Renewed patronage and strengthened authority of chiefs under the scarcity of customary land in Zambia. Takeuchi, S. (ed.). African Land Reform under Economic Liberalizsation: State, Chiefs, and Rural Communities2021

    • 著者名/発表者名
      Oyama, S.
    • 総ページ数
      22
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 緒言. 京都大学アフリカ地域研究資料センター 編 『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下におけるアフリカ諸国の対応と社会情勢―海外フィールドワークの再開にむけて』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      31
    • 出版者
      アフリカ地域研究資料センター
  • [図書] 海外から日本入国時の手続き.京都大学アフリカ地域研究資料センター 編『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下におけるアフリカ諸国の対応と社会情勢―海外フィールドワークの再開にむけて』2021

    • 著者名/発表者名
      川畑一朗・ 大山修一
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      アフリカ地域研究資料センター
  • [図書] アフリカの脱プラスチック政策とその実効性.漆原和子・藤塚吉浩・松山洋・大西宏治編『図説 世界の地域問題100』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一・川畑一朗
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [図書] 持続可能な発展への支援―サヘルの緑化への挑戦『社会科 中学生の地理:世界の姿と日本の国土』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      帝国書院
  • [図書] アフリカ州.『社会科 中学生の地理:世界の姿と日本の国土 指導書(朱書き編)』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      帝国書院
  • [図書] 世界各地の衣食住とその変化.『社会科 中学生の地理:世界の姿と日本の国土 指導書(朱書き編)』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      帝国書院
  • [図書] 砂漠化を止めろ-取り組み2 生ごみで緑化を進める研究. 『地理の資料』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      正進社
  • [図書] 第2部 政策オプション 第9章アフリカ.UNEP(国連環境計画)編、青山益夫(環境報告研) 『GEO5 地球環境概観第5次報告書 下』2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一 監訳
    • 総ページ数
      26
    • 出版者
      大日本印刷
  • [図書] 農村研究者 ごみと家畜とシロアリの力で荒廃地を緑に-アフリカ農村の暮らしをよくする.SDGsを実現する2030年の仕事未来図3 地球環境を守る仕事2021

    • 著者名/発表者名
      SDGSを実現する2030年の仕事未来図編集委員会
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      文渓堂
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その28:友人の「コロナはない」という言葉のかげで2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その29:ゴミ分別の新しい基準の提案―「可分解」と「不分解」2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その30:ニジェールの「地下社会」を支配する者は誰か?―その名はシロアリ2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その31:いつ、ゴミを荒廃地に投入するのがよいのか?―緑化のためのベストタイミング2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その32:どのくらい、ゴミを荒廃地に投入するのがよいのか?―緑化に必要なゴミの重量2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [図書] ニジェールでゴミを集める日本人 その33:JICA草の根技術協力事業プロジェクトの立ち上げと活動の開始2021

    • 著者名/発表者名
      大山修一
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      JICAニジェール支所
  • [備考] 京都大学ニジェール・フィールドステーション(日本語ウェブサイト)

    • URL

      https://geo.africa.kyoto-u.ac.jp/niger-station

  • [備考] 京都大学ニジェール・フィールドステーション(英語ウェブサイト)

    • URL

      https://geo.africa.kyoto-u.ac.jp/niger-station/en

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公開日: 2023-12-25  

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