研究課題
本研究は、「同所に多個体が存在することが問題解決行動をうみだし、集団内の個体が互いに学ぶ」という仮説を立て、“ヒト石器時代に生じたであろう他者から学び、知識・技能を伝えるという文化の礎を、“動物文化”で再現することを目的とする。1)さまざまな「文化」を持つ動物種(オマキザル、カラスなど)の集団を対象に、問題解決行動の創発とその行動の伝搬を調べ、2)固有の知識・技能を持つ小集団が学びあうことで創発を促し(ジグソー法)、3)模倣を促進する技法を開発することで、“ヒト文化”の基礎となる「他者から学ぶ」ことを促進・阻害する社会生態要因を明らかにし、ヒト固有と考えられてきた社会学習の起源とその進化的基盤を理解することを目的とする。群れにおける個体間・小集団の競合性(外集団)と宥和性(内集団)の調べるために、集団飼育下にあるオマキザルを対象に実験・観察を行った。フサオマキザルは、オスだけで構成される集団(オスグループ)とオス・メスで構成される集団(メス・オスグループ)を観察対象とした。2種類の開け方でエサを取ることができる装置(道具)を作成し、それぞれの集団に馴致させた。オスグループは、力づくでエサを取ろうとする行動が見られ、3ヶ月にわたって修理と再設置を繰り返した。オスグループは特定の優位個体が道具を占有し、ほかの個体は近づくことが難しい時期が続いた。それに対してメス・オスグループは、そのような破壊行為は少なく、特定の個体が装置を開けてエサを取れるようになった。他個体も、エサを取る行動を注視しており、観察による学習が成立するかを検討している。
3: やや遅れている
実験装置を作成したが、オスのオマキザルが、何度も破壊し、修理を繰り返したため、実験を実施できない期間がかなりあったため。
現在、2集団のオマキザル集団に道具を導入し、それぞれの集団で道具を操作しエサを取ることができる個体がいる。今後、他個体が、先行してエサを取った個体が行う方法でエサを取られるようになるか観察する。また、個体の集団を入れ替えるなどし、行動がどのように伝播するかを調べる。
公開シンポジウム「認知科学のこれまでとこれから」開催(2023年6月24日)
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