研究課題
日本モンキーセンターのフサオマキザルのオス群9頭およびオス・メス群13頭を観察した(2023.12.13~2024.3.18)。フサオマキザルが1~2個体入ることができる実験台をグループケージの内側に、2通りの開け方で餌を得ることができる実験装置を実験時に外側に設置した。それぞれのグループに習得させたい開け方のみ操作可能にするため、状況に応じてロックすることで他方の開け方ができないようにした。それぞれの開け方を習得した個体を観察した個体が、(両方の開け方が可能な状況で)どちらの開け方でエサを得るかを観察することを目的とした。その結果、メス・オス群では、最年少のマーフィが多く操作し、スライド板より先に回転盤を操作した。マーフィが、回転盤を何度も操作しているうちに、偶然エサを得て、その後安定的にエサを得るようになった。そのマーフィの操作を、ブリトニーがよく見ていたことも観察された。オス群では、上位の2個体が実験装置を多く占有し、力尽でエサを取ろうとして何度か装置を破壊しかけた。回転盤を操作する個体と、板をスライドする個体が出現したが、エサを取得した個体はいなかった。カラスを対象に、群れ内の情報伝搬経路となる個体間の社会関係を支える個体の社会行動が、個体のストレス生理応答性とどのように関係するかを調べた。飼育群れ18個体を対象に、群れから個体を単離し、CRF投与によってストレス中枢(視床下部)を薬理刺激し、10分後の血中コルチコステロン上昇率を測定した。独立に、群れ飼育ケージ内へのヒト侵入実験を行い、侵入後5分間の攻撃・宥和行動の生起率を個体ごとに算出した。両データを分析した結果、ストレスホルモン上昇が高い個体ほど、ヒト侵入時に他個体へ社会行動を生起しやすいことが判明した。各個体の生理・行動特性が、優劣・宥和関係の形成にどのように寄与しているかについてさらに解析を進める。
2: おおむね順調に進展している
オマキザルのオスグループは、力尽くで装置内のエサを取ろうとするため、何度も装置が破壊され、そのたびに修理・改良が必要であったため、若干の遅れがあるが、メス・オス群では安定的に装置(問題箱)からエサを取る個体も出現しており、おおむね順調に進んでいる。
個体間の順位と問題箱をあける時期の関係など、社会関係と行動の出現や伝播の関係を記述的に分析する。
公開シンポジウム「認知科学のこれまでとこれから」開催(2023年6月24日)
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