研究課題/領域番号 |
21H04432
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
長田 博文 中部大学, 工学部, 教授 (20177207)
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研究分担者 |
種村 秀紀 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40217162)
舟木 直久 東京大学, 大学院数理科学研究科, 名誉教授 (60112174)
香取 眞理 中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)
白井 朋之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (70302932)
笹本 智弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (70332640)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 無限粒子系 / 確率解析 / ランダム行列 / 可解モデル / 確率幾何 / 統計物理 / 無限次元確率微分方程式 / Dirichlet形式 |
研究実績の概要 |
KPZ普遍クラスに属する可解モデルを有限温度自由フェルミオンに関連付けて解析する新手法を開発し、半無限KPZ系の新しい明示公式を得た。半無限KPZ系に対する揺らぎの極限分布を決定した。1次元対称排他過程の大偏差を、古典可積分系との関係を用いて決定する論文を出版した。その後この手法を他の初期条件や他のモデルの解析に応用する研究を進めた。 ソフトエッジ型極限の方程式の導出のため、Deift達の漸近評価を適用し、相関関数等の精密な一様な評価を導き、有限粒子系から無限粒子系への収束を示した。 2次元球面上に spherical ensemble を考えるとランダム行列の固有値として得られる行列式点過程の一般化が得られ、点の数を無限大にする極限で、ベッセル関数によって表現される相関核を持つ行列式点過程に収束する。同様の問題をコンパクトリーマン多様体上の行列式点過程で設定して、接空間上に指数写像で引き戻した行列式点過程が、同様の普遍的な行列式点過程に収束することを示した。 相互作用粒子系の相分離現象を解明し、分離境界面の運動として平均曲率運動、ホイヘンスの原理の導出を行った。また特異な確率偏微分方程式の長時間挙動について調べた。これらの成果は、国際数学者会議で報告した。 エルミート行列に値をもつブラウン運動の場合、その固有値過程は固有ベクトル過程と独立に議論することが出来る。これに対して、非エルミートな場合には、固有ベクトルの汎関数である overlap 行列の時間発展と固有値過程とが結合する。非エルミート行列値ブラウン運動に対して定義される 正規化された Fuglede-Kadison行列式の時間発展に伊藤解析を適用した。この行列式の対数微分から、固有値やoverlap 行列の対角成分の重みをもった固有値の経験分布の時間発展系を導出した。また、それらの平均値に対して偏微分方程式系を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究チームの各自が様々な方向に研究を大きく発展させているから。
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今後の研究の推進方策 |
現在の状態を維持し、研究成果を積み重ねたい。分担者の持つ多様性と、無限粒子系を軸とした統一性を最大限に生かしたい。 ベータアンサンブルの無限粒子系の確率解析は重要な課題の一つだが、これに対して新たに若手の分担者を加えて研究を進展させていく。GAFに代表される最先端の未知の世界への研究の視点に加えて、無限粒子系の解析学の新理論を、様々な問題に使用していく。例えば、無限次元確率微分方程式を用いない、無限粒子系のDirichlet形式の一意性、big jump型無限粒子系のtagged粒子問題、無限粒子系の確立力学のエルゴード性など、理論の応用として達成できると思われる結果がたくさんあるが、それらを実行することで、この理論の有効性を広めたい。
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