研究課題/領域番号 |
21H04449
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋爪 秀利 東北大学, 工学研究科, 教授 (80198663)
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研究分担者 |
伊藤 悟 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60422078)
遊佐 訓孝 東北大学, 工学研究科, 教授 (60466779)
宍戸 博紀 東北大学, 工学研究科, 助教 (90827792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 液体ダイバーター / MHD効果 / 4相連続 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、従来から考えられている2つの方式であるガスダイバータ(固体壁の表面にガスを噴射する方法)と液体ダイバータ(液体金属を用いる方法)で問題となる、一部の荷電粒子がガス領域を突き抜けてしまうことによる固体壁の重大な損傷の発生・液体の蒸発によるプラズマへの不純分の侵入によるプラズマの不安定化といった工学的課題を解決するため、両者の方法を統合し、世界初の「MHD効果を利用した4相連続型の革新的なダイバータシステム」の基盤研究を遂行することによって、合理的なダイバータの実現に向けたブレイクスルーを示すことである。本年度の研究実績は以下の通りである。 1) 磁場下での液体金属自由表面流における流速分布を評価するための電位プローブユニットを製作し、ナノボルトメータによる電位分布計測系の構築を行った。さらに非一様の0.1 T程度の磁場(東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センター)において、液体金属ガリンスタンを用いたMHD自由表面流実験を行い、導電フィン、絶縁フィン、部分導電フィン、部分絶縁フィンの4種類のフィンを流路中に設置した際の流速分布を得てMHD流動制御特性を評価した。 2) 一様磁場下での液体金属自由表面流実験(2年目以降を予定)を行うために、本年度はネオジム系の永久磁石とヨークを合せた磁気回路を有する一様磁場発生装置を製作した。本装置はギャップの幅および高さがそれぞれ90 mmおよび200 mmで、流路方向に200 mm程度に0.8 Tの一様な磁場を発生できるものとした。また本装置に使用する液体金属流動ループ設計に着手した。また、気泡導入部の設計検討のために多孔質体を選定・購入を行った。 3) 自由表面を有する液体金属のMHD流れ、および気泡の影響による電気伝導度の変化を考慮した解析手法の構築に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体金属自由表面流における流速分布を評価するための電位分布計測系の構築については、交付申請書に記載した通りに実施しており、これに加えて、液体金属自由表面流中に各種フィンを設置して流動制御特性を得る実験を行うことができた。また、一様磁場発生装置の製作と流路設計についても交付申請書に記載した通りに実施できている。気泡導入部の設計検討、自由表面を有する液体金属のMHD流れ、および気泡の影響による電気伝導度の変化を考慮した解析手法の構築にも予定通り着手できており、以上を踏まえるとおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、非一様の0.1 T程度の磁場(東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センター)を使用して、ガリンスタンを用いた液体金属自由表面流実験を行い、導電フィン、絶縁フィン、部分導電フィン、部分絶縁フィンを複数配置した場合、かつ、磁場を変化させた場合の液体金属流動制御特性を得る。これを次に述べる一様磁場下の流動実験における比較参考データとして用いる。 並行して、初年度に導入した一様磁場発生装置中に設置する液体金属流動ループを完成させ、自由表面流実験に着手する。こちらで得た実験データと非一様の磁場下で得た実験データから磁場強度と流動制御特性の関係性を整理する。 また、気泡導入部の設計を行い、気体としてアルゴンガス、液体金属としてGdInSnを使用し、流動の無い状態での気泡導入状況を評価し、最適な多孔質体特性/ガス流量を求める。 さらに初年度に引き続き、自由表面を有する液体金属のMHD流れ、および気泡の影響による電気伝導度の変化を考慮した解析手法の構築を行い、得られた実験結果と比較することで、コードの検証を行う。
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