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2022 年度 実績報告書

核融合原型炉同等条件下における先進レーザー計測を用いた乱流駆動輸送研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 21H04458
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

田中 謙治  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50260047)

研究分担者 瓜谷 章  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10213521)
中西 秀哉  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (10280596)
糟谷 直宏  九州大学, 応用力学研究所, 教授 (20390635)
吉田 麻衣子  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂研究所 先進プラズマ研究部, グループリーダー (20391261)
沼波 政倫  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40397203)
仲田 資季  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40709440)
笹尾 一  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂研究所 先進プラズマ研究部, 主幹技術員 (80897067)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2026-03-31
キーワード核融合 / プラズマ / レーザー / 位相コントラストイメージング / 乱流
研究実績の概要

本研究課題で乱流計測を予定しているJT-60SAではR3年に発生したコイルの絶縁破壊トラブルによりJT-60SAの運転スケジュールが大幅に遅れることとなったため、研究計画を立て直した。現在のところ、R7年度の後半に軽水素を用いた実験が行われる予定なので、R6年度までに計測システムの開発を完了し、当初R6年度に予定していた計測システムのJT-60SAへの設置をR7年度前半に行い、R7年度後半に実験データの取得を目指すことにした。
R3年度の研究で、計測に用いるレーザーの光源を当初予定していた波長1.55micronのYAGレーザーから、波長10.6micronのCO2レーザーに変更したため、検出器を冷却する液体窒素製造装置が必要となった。また、検出器はプラズマ計測用に3台、レーザーの光軸のフィードバック調整用に1台用いることにした。その結果、4台の検出器に液体窒素を供給する必要がある。また、実験期間中は実験室に入室できないため、液体窒素の製造供給を遠隔で無人運転し、液体窒素の残量に応じて自動供給する必要がある。R4年度は自動供給用のバルブシステムを開発し、既存の検出器2台を用いて自動供給のテストを行った。検出器デュワー内に滞留した冷たい窒素ガスが、配管内に氷を形成し、液体窒素が充填できなくなることが判明した。よって、冷たい窒素ガスが外部に流れるような流路を形成して対応することにした。
実験室内に検出器、および液体窒素製造装置を設置するため、これらの装置が重水素を用いた実験で発生する中性子、およびガンマ線により、破損、および誤動作を防ぐためのシールドを設置する必要がある。検出器、および液体窒素製造装置を設置する位置におけるJT-60SAが実験を終了するまでの、およそ15年間の中性子、ガンマ線の積算照射量を算出し、シールドの検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

核融合科学研究所に設置している中性子とガンマ線のシールドを参考にして、1x0.6x0.6mのシールドボックスのモデルにおいて厚さ10cmのボロン添加ポリエチレンと厚さ1cmの鉛を用いたシールドによる中性子、ガンマ線の影響の評価を半導体素子について行った。その結果、実験開始後7年程度で中性子、およびガンマ線による損傷限界を超えることが分かった。JT-60SAで用いるシールドボックスは計算に用いたシールドボックスより体積で8倍程度大きく、使用するシールドの体積も大きくなるため、ここでのモデル計算は中性子、ガンマ線の照射量を過大評価している可能性がある。よって、今後、実際に用いるサイズでの計算を行い、必要であればポリエチレンおよび鉛シールドを厚くする必要があることが分かった。
JT-60SAで行う予定である物理実験の参照データとしてLHDでの実験に参加し、乱流データを取得し解析に取り組んだ。原型炉と同等の実験条件下では核融合反応により生成された高エネルギーヘリウムイオンと乱流の相関が重要である。LHDでは高エネルギーヘリウムイオンの代わりに外部から入射した加熱用の高エネルギー重水素ビームと乱流揺動の相互作用に関する実験データの解析に取り組んだ。その結果、高エネルギーイオンの入射量が大きくなると、ビーム入射直後に乱流揺動が過渡的に減少することを見出した。
乱流揺動の空間構造を高精度で検出する手法をドイツのマックスプランクプラズマ物理研究所のW-7X装置で取り組んだ。位相コントラストイメージングの信号を固定した30chの検出器と、ビームを分岐して時間的にスキャンする1chの検出器で同時計測した。両者の相関を計算することにより、実効的に30x30=900チャンネルに対応する二次元乱流計測のデータの取得に成功した。

今後の研究の推進方策

液体窒素自動供給装置は1台の連続自動運転は1カ月程度成功したが、JT-60SAで行う4台の検出器の自動運転のテストはまだ行っていない。R5年度は4台の検出器への液体窒素の自動供給運転の試験を行う予定である。3カ月程度の連続運転を目指す。
中性子、ガンマ線シールドについてはJT-60SAに設置するサイズでのシールド内での中性子、ガンマ線の減衰率を計算する。その後、計算結果に基づき中性子減衰用のボロン添加ポリエチレンシールドとガンマ線減衰用の鉛シールドの厚さを決定する。それに基づき、液体窒素製造装置と検出器のシールドボックスを設計製作する。
現在解析に取り組んでいるLHDにおける高エネルギーイオンと乱流揺動の相互作用については、解析を進め論文化することを目指す。
また、JT-60SAにおける物理実験計画策定のために、トカマクでの実験データの取得にも取り組む。英国のJET,およびスイス連邦工科大学のTCV装置での水素同位体効果による乱流駆動輸送の比較、および、電子加熱下での乱流揺動の比較実験解析に取り組む。特にTCVは本課題で計画しているシステムと類似した接線視野の位相コントラストイメージングが稼働する予定であり、同位体効果や、電子加熱下における乱流揺動の実験データの取得に取り組む。
W-7Xで実施した固定30chとスキャン1chの同時計測は、乱流が時間的定常状態において適用可能で、高空間分解な視線積分の二次元乱流揺動のデータを取得できる。二次元視線積分のデータを磁力線構造を利用することにより、局所的な乱流揺動の実験データを取得することが可能である。すでに6x8ch=48chの二次元計測はLHDで行っており、局所乱流の計測に成功している。今回、W-7Xで試した手法が48ch同時二次元計測をしのぐ局所分解能を取得できればJT-60SAに本手法を適用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] マックスプランクプラズマ物理研究所(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      マックスプランクプラズマ物理研究所
  • [国際共同研究] スイス連邦工科大学(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      スイス連邦工科大学
  • [国際共同研究] EuroFusion(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      EuroFusion
  • [国際共同研究] VTT(フィンランド)

    • 国名
      フィンランド
    • 外国機関名
      VTT
  • [雑誌論文] Development of Two-Color Laser Imaging Interferometer Using CO2 Laser and Quantum Cascade Laser in the Large Helical Device2022

    • 著者名/発表者名
      T. Kinoshita, K. Tanaka, Y. Takemura, S. Takeshida, H. Sakai
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 17 ページ: 1,16

    • DOI

      10.1585/pfr.17.1402107

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] レーザー位相コントラストイメージングを用いた 高温プラズマ乱流計測2022

    • 著者名/発表者名
      田中謙治、木下稔基、酒井彦那
    • 雑誌名

      フォトニクスニュース

      巻: 8 ページ: 25,32

  • [学会発表] Ion turbulence studies in LHD and W7-X2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Tanaka
    • 学会等名
      The 23rd International Stellarator-Heliotron Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Phase contrast imaging for the measurements of microturbulence2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Tanaka
    • 学会等名
      AAPPS-DPP2022
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Role of ion scale turbulence in isotope effects of LHD2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Tanaka
    • 学会等名
      20th International congress on plasma physics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考]

    • URL

      https://aees.kyushu-u.ac.jp/~ktanaka/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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