研究課題
数 100 TeV 宇宙ガンマ線を作る親の原子核宇宙線はいわゆる Knee 領域である数 PeV のエネルギーを持つとされ、その起源が銀河系内から系外に遷移すると考えられているエネルギーに相当するため、100 TeV 超領域でのガンマ線観測は、宇宙線の起源・加速問題に大きな知見を与えるなど、物理学的・天文学的意義が極めて大きいと考えられている。 本研究の目的は、2014 年からデータ収集を開始し世界で初めて 100 TeV を超えるエネルギーのガンマ線を検出した、大面積 (3,200 平方メートル) 地下水チェレンコフ型ミューオン観測装置を有する広視野宇宙線望遠鏡であるチベット空気シャワー観測装置を継続運用し、そのデータを使用することにより、100 TeV 超領域ガンマ線天文学を確立することである。空気シャワー観測において、その到来方向は各検出器がシャワー粒子を検出した時間差から求めるため、TDC (時間-デジタル変換器) は角度分解能を決める要となるパーツの一つである。チベット空気シャワー観測装置で現在使用している TDC は 1999 年に導入され、当時の電子部品の制約から時間分解能は 0.5 ns である。これを高い時間分解能を持つ最新の TDC と置き換えることで、角度分解能の改善、感度の向上を目指す。今年度は、中国科学院国家天文台と協力し、チベット空気シャワー観測装置の TDC を最新のものと置き換える準備を引き続き実施した。同時に、チベット空気シャワー観測装置で取得されているデータの解析やモンテカルロシミュレーション等を研究協力者とともに推進した。また、南半球のボリビアで同様の観測を推進しているALPACA実験グループとの良好な協力関係を維持した。研究の進捗状況と成果については、研究代表者および研究協力者が学術雑誌論文、各種国際会議、日本物理学会、日本天文学会などで発表した。
2: おおむね順調に進展している
空気シャワー観測において、その到来方向は各検出器がシャワー粒子を検出した時間差から求めるため、TDC (時間-デジタル変換器) は角度分解能を決める要となるパーツの一つである。チベット空気シャワー観測装置で現在使用している TDC は 1999 年に導入され、当時の電子部品の制約から時間分解能は 0.5 ns である。これを高い時間分解能を持つ最新の TDC と置き換えることで、角度分解能の改善、感度の向上を目指した。今年度は、中国科学院国家天文台と協力し、新しい TDC を収納する VME クレート、置き換えに必要な TDC のうちの一部、VME からデータを読み出すためのインターフェイスボード、データ収集用PC、部品、ケーブルなどの必要な物品を購入し、研究協力者とともに東京大学宇宙線研究所と中国科学院国家天文台においてデータ収集のためのソフトウェア開発、データ収集の安定性試験と較正等をさらに進めた。同時に、チベット空気シャワー観測装置で取得されているデータの解析やモンテカルロシミュレーション等を研究協力者とともに推進した。また、南半球のボリビアで同様の観測を推進しているALPACA実験グループとの良好な協力関係を維持した。研究の進捗状況と成果については、研究代表者および研究協力者が学術雑誌論文、各種国際会議、日本物理学会、日本天文学会などで発表した。以上の通り、研究実施計画に沿って研究を進めることができた。
今後は、チベット空気シャワー観測装置の TDC を含むデータ収集系を最新のものと置き換え、調整、較正を実施する。同時に、チベット空気シャワー観測装置で取得されているデータの解析をさらに進め、100 TeV 超領域ガンマ線天文学を確立につなげる。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 15件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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