研究課題/領域番号 |
21H04486
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
渡辺 伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (60446599)
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研究分担者 |
高橋 忠幸 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (50183851)
萩野 浩一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70762061)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 太陽フレア / 硬X線撮像分光観測 / CdTe半導体検出器 / 粒子加速 / 宇宙プラズマ |
研究実績の概要 |
本研究では、太陽フレアに対して、初めてのX線・硬X線直接撮像分光観測をFOXSI-4ロケット実験にて、実現させ、太陽フレアにおける粒子加速とプラズマ加熱の過程を観測的に解明することを目的とする。この観測を実現するために、我々が世界で初めて開発に成功した両面ストリップ型のテルル化カドミウム(CdTe)半導体撮像検出器の開発研究を進展させ、太陽フレアのX線・硬X線直接撮像分光観測に適するように、設計、改良するとともに、精緻な較正試験、性能試験を通して、観測装置システムとして完成させる。 当該年度では、FOXSI-4ロケット実験に向けて、搭載用のCdTe半導体両面ストリップ型検出器の製作を行った。本製作に先立って、製作方法の課題洗い出しのための試作器で詳細評価を行い、搭載用の製作工程の確立を行い、その後、FM候補品の検出器部分6台の製作を実施した。 FOXSI-4では、太陽フレア中の観測を行うため、高いカウントレート耐性が要求される。そのための信号処理ASICの制御ロジックの改良とデータ収集システムの改良を行い、信号処理回路基板(FPGA搭載)と各種電源回路基板を設計、製作した。そのなかで、ASICの制御ロジックとデータ収集の中心となるFPGAの入手に時間を要したため、2022年度への繰越を実施した。 工程確立のために製作した試作検出器を用いて、動作試験、性能試験、キャリブレーション試験を実施し、検出位置に対する応答についての研究を進め、従来より優れた30ミクロンの位置分解能の実証を行なった。これらの実験は、SPring-8でのX線ビームラインでも実施し、検出器の詳細な応答関数構築のためのデータを取ることができ、高いカウントレート耐性も同時に実証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
搭載用のCdTe半導体両面ストリップ型検出器の製作を予定通り実施することができるとともに、試作検出器で性能を確認することができた。世界的な半導体部品不足の影響は受けて、ASICの制御ロジックとデータ収集用のFPGAの入手に時間がかかることになり、2022年度に繰越することになったものの、設計と動作検証は、手持ちの回路基板で進めることができたため、進捗に問題はなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、搭載品の動作試験、キャリブレーションを実施するととも、搭載品の予備として、追加製作を実施する。制御系、データ処理系も合わせて、観測装置システムとしての完成に向けて、インテグレーションと試験を実施する。
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