研究課題
本研究は、太陽フレアに対して、初めてのX線・硬X線直接撮像分光観測をFOXSI-4ロケット実験にて、実現させ、太陽フレアにおける粒子加速とプラズマ加熱の過程を観測的に解明することを目的としている。この観測を実現するために、我々が世界で初めて開発に成功した両面ストリップ型のテルル化カドミウム(CdTe)半導体撮像検出器の開発研究を進展させ、太陽フレアのX線・硬X線直接撮像分光観測に適するように、設計、改良するとともに、精緻な較正試験、性能試験を通して、観測装置システムとして完成させ、FOXSI-4観測ロケット実験に提供する。本年度は、昨年度までに製作し、観測装置に組み上げたFOXSI-4搭載用CdTe両面ストリップ検出器を米国の観測ロケットペイロードに組み込み 、最終組み上げ試験を実施した。組み上げ試験は、PI所属機関であるミネソタ大学、ペイロードシステムを担当するカリフォルニア大学バーク レー校で行われた。ペイロードシステムとして組み上げたのち、ホワイトサンズ観測ロケット発射場にて、観測ロケット側との最終噛み合わせ試験を実施し、完了した。日本からメンバーが出張してこれらの実験、試験に参加した。その後、FOXSI-4の観測ロケットの射場となる米国アラスカ州のポーカーフラット観測ロケット打ち上げ場での打ち上げ準備に入った。打ち上げは、2024年4月となる。加えて、日本に残しているフライトスペア検出器を使用して、検出器応答ほか検出器システムの特性を詳細に調べる実験を行うと共に、CdTe両面ストリップ検出器のオンボードデータ収集ソフトウェアの最終試験、観測の運用リハーサルを行い、打ち上げ運用に備えた。
2: おおむね順調に進展している
2024年4月に設定されたFOXSI-4観測ロケットの打ち上げに向けて、着実に準備を完了することができた。
2024年度の初めにX線・硬X線直接撮像分光観測FOXSI-4ロケットを米国アラスカのポーカーフラット観測ロケット打ち上げ場より打ち上げる。日本からもメンバーが出張して、観測ロケット実験に参加する。 ロケット実験実施後、機器を回収して、太陽フレアのX線・硬X線観測データの解析に取り掛かる。太陽フレアにおける粒子加速とプラズマ加熱 の過程を解明するため、得られた観測データから物理状態を導出する。この解析においては、観測装置のキャリブレーションが重要であり、打ち上げ前に取得したキャリブレーションデータを適用するとともに、追加で必要なキャリブレーション項目があれば、地上の予備を用いて、デ ータの取得を行う。なお、2024年4月18日、FOXSI-4の打ち上げを実施し、太陽フレアの観測、その後の機器回収、データ回収に成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1059 ページ: 169024~169024
10.1016/j.nima.2023.169024
巻: 1050 ページ: 168175~168175
10.1016/j.nima.2023.168175