研究課題
本研究では、樹木年輪中の炭素14濃度を1年分解能で超高精度で分析することで、太陽活動極小期の発生直前の11年周期の特性を明らかにし、太陽活動の長期的低下のメカニズムについて手掛かりを得ることを目的としている。精密な太陽活動サイクルの復元を行うため、トラバーチン堆積物中のベリリウム10濃度の分析も併せて進めている。また、発展的目標として、太陽活動極小期と大規模太陽フレアとの関連性について議論することも目指している。2022年度は、過去1000年間において最大規模の太陽活動極小期であるシュペーラー極小期の開始時期前後の時代について、炭素14濃度の超高精度分析を行った。シュペーラー極小期については、2019年までの分析により、開始直前の2サイクルにおいて周期が数年延びていた可能性があることが判明しているため、そのさらに前のサイクルも含めて分析を行い、周期長を厳密に決定することを目指すこととした。分析には、下北半島の猿ヶ森埋没林から採取されたアスナロの年輪を使用し、山形大学高感度加速器質量分析センターで重複測定を行った。途中、グラファイト調製ラインの不具合により、当初予定していた精度での分析が困難となったため、研究費を繰越し、2023年度において分析を行った。
3: やや遅れている
年度の途中で、グラファイト調製ラインの不具合により、当初予定していた精度での分析が困難となり、その原因究明のため5か月程度の遅れが生じた。そのため、予定していた分析の一部を2023年度に持ち越して行うこととした。
シュペーラー極小期の発生直前の時代について、炭素14濃度の分析を重点的に行う。データが取得でき次第、炭素循環モデルを用いて、太陽周期を厳密に明らかにしていく。また、紀元前9世紀の大規模な太陽活動極小期の分析に向けて、年輪試料の切削作業を開始する。併せて、トラバーチン堆積物のベリリウム10の分析についても進めていく。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 11件、 招待講演 7件)
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