研究課題/領域番号 |
21H04508
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 和久 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10376543)
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研究分担者 |
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648)
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
森 信人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90371476)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 沿岸巨礫 / 北大西洋島嶼域 / 台風 / 地震 / 津波 |
研究実績の概要 |
本研究では,琉球列島や伊豆小笠原諸島を主対象として,北西太平洋島嶼部のリーフ上等に存在する台風の高波や津波で打ち上げられた沿岸巨礫データを現地調査により網羅的に収集し,リーフ形成年代や海面水温データと統合し,その堆積過程を明らかにする.調査結果を制約条件として高波・津波数値計算を実施し,巨礫のサイズ・空間分布を説明できる波浪条件(波高・波長)をリーフ形成後の既往最大値として推定し,各地の波浪計算結果に基づき台風と地震の既往最大規模を推定することを目的としている.この目的を達成するため,1)最新知見と技術による沿岸巨礫の効率的調査法の検討,2)高波・津波の最大規模の定量的推定法の確立,3)高波規模を制約とした古台風強度推定法の確立,4)津波規模を制約とした地震断層モデルの高精度推定法の改良,5)提案手法の適用期間,技術的・地域的適用限界の把握,6)沿岸巨礫から得られるハザード情報の防災の現場での活用の6つを主たる課題として掲げている. 本年度は,UAV搭載型LiDARを新規に導入し,石垣島や西表島において巨礫や地形のマッピングができるか検証を行った.その結果,植生に覆われている場所においても地形及び巨礫形状を数値化できることが明らかとなった.また,昨年度に引き続き,奄美大島の巨礫およびリーフの形成年代を測定し,巨礫打ち上げ年代に偏りがあることが明らかになった.さらに数値計算においては,海底地形の効果で津波の伝播形態が大きく変化していることを明らかにした.また,小笠原諸島において予備調査を実施し,本研究の目的に資する研究対象地域が存在することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続きコロナ禍の制約条件があったものの,新規機器類の導入と実装,現地調査,データ解析,数値計算,既往データ収集のいずれにおいても,計画していた内容を概ね実施することができたと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
機器導入と実装が進んだことで,これまで実施できなかった高精度地形・巨礫形状把握が可能となった.今後は,琉球列島や小笠原諸島を対象として現地調査を進め,特に巨礫や地形の数値データ化を進める.これを踏まえて,数値計算により台風や津波の規模評価を実施する.
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