研究課題/領域番号 |
21H04527
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
北台 紀夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (80625723)
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研究分担者 |
渋谷 岳造 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 主任研究員 (00512906)
山本 正浩 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 研究員 (60435849)
高井 研 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門, 部門長 (80359166)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 深海熱水噴出孔 / 生命の起源 / アストロバイオロジー |
研究実績の概要 |
近年,我々は深海熱水噴出孔への電気化学調査を行い,噴出孔の内側から外側へ向かう定常的な電子の流れを発見した.熱水系は宇宙,少なくとも我々の太陽系に幅広く存在する可能性が示されており,その場がもたらす電気化学反応場は二酸化炭素(CO2)を還元し,種々の有機物を生成する原始代謝システムの発生を駆動した(している)可能性がある.この仮説を室内実験と熱力学計算から検証し,単純な無機分子から生体分子へ至る一連の化学プロセスに適した環境条件を特定することが,本研究の目的である.2022年度は,特にアンモニアの選択的濃集について進展があった. アンモニアは生体分子(例えばアミノ酸)の合成に必須な窒素源の一つである.先行研究から,海底熱水噴出孔環境で起こる様々な水熱・電気化学反応を模擬したアンモニア合成が示されてきたが,生じたアンモニアが海水へと散逸することなく噴出孔近傍にどのように留まり,有機化学反応に関与してきたかは不明であった.本研究では,硫化鉄(マッキナワイト)を電気還元することで,相間の鉄原子がゼロ価へと変化し(Fe2+ + 2e- → Fe0),アンモニアを選択的に結合する配位サイトが生じることを発見した.1mMアンモニアを含む模擬原始海水(1 M NaCl,CO2バブリングによりpHは弱酸性~中性)中での実験では,アンモニアの固液分配係数はマッキナワイトの電気還元により最大55倍に増大し,90%以上のアンモニアがマッキナワイトに濃集することが示された.本成果は論文にまとめ,国際誌で査読を受けていることろである. その他,研究テーマとして「深海熱水噴出孔環境を模擬した実験条件下での有機化合物合成」,「深海熱水噴出孔環境で生じる発電現象の再現」等にも取り組んだ.実験データを取得・整理し,学術論文としての成果報告を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深海熱水噴出孔環境を模擬した実験条件下での特定分子の選択的濃集が順調に進展した.その他テーマも学術論文としての成果報告を目指し取り組んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
深海熱水噴出孔環境が地球生命発生に果たした役割の解明を目指し,次年度も理論や実験データの取得・整理,及び学術論文としての成果報告を進めていく.
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