研究課題
哺乳類の大脳皮質深部で誕生した神経細胞(ニューロン)は,三種類の移動モードを駆使して脳表層に到着し,インサイドアウトと呼ばれる六層構造の大脳皮質を形成する.本研究の目的は,流体構造生化学連成解析とイン・ビボ細胞実験の統合的な手法によって,ニューロンの移動モードの変化とインサイドアウト構造の形成メカニズムを力学に基づいて明らかにすることである.また,そのための基盤計算技術として,細胞膜の固体力学,細胞質と細胞外の液体の流体力学,細胞接着タンパクと細胞骨格タンパクの生化学反応を連成するトランススケール流体構造生化学連成解析手法を開発することである.これまでにニューロンの先導突起の挙動を再現するための流体構造連成解析手法の基礎を構築し,ロコモーションやトランスロケーションにみられる長く伸びた先導突起の形成メカニズムを検討してきた.その結果,局所的な生体膜の面積拡大と細胞骨格タンパクの重合・脱重合のバランスが重要であることが示唆された.これを踏まえて,2023年度は,第一に,生体組織の成長理論を生体膜の面積増加に応用する手法を開発した.具体的には,細胞膜の変形を自発的な面積拡大による塑性変形と弾性変形に分解する手法である.第二に,これを用いて,先導突起の再現を試みた.細胞膜の一部に塑性変形(面積拡大)を与えると,突起のような形態が現れた.さらに先端部に集中的な面積拡大を与えると,細長く伸展した突起形状になる結果が得られた.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Journal of Fluids and Structures
巻: 124 ページ: 104022~104022
10.1016/j.jfluidstructs.2023.104022
巻: 125 ページ: 104081~104081
10.1016/j.jfluidstructs.2024.104081