今後の研究の推進方策 |
本年度は、 BaSi2に対して電子輸送層またはホール輸送層として働くと考えられる材料とのヘテロ接合を作製し、高い分光感度向上を達成する。具体的には、次の3つのことを実施する。
1. a-SiCは14族元素で構成されるワイドギャップ材料であり、BaSi2との親和性が高く、電子輸送層として働くと考えられる。既に、TiN/SiO2基板上にa-SiC(5nm)を堆積して、その上に、BaSi2膜を高温で堆積することで分光感度が大きくなっている。どの温度で堆積するのが最適か、明らかにする。 2. ホール輸送層として期待されるホール輸送材料群(NiO, WO3, MoO3など)を真空蒸着法でa-Si膜上に堆積する際、a-Si中の水素量により、その上に形成したホール輸送層の酸素の組成が変化することが分かっている。a-Si/BaSi2構造にホール輸送層を堆積し、分光感度が最大になる堆積条件を明らかにする。 3. BaSi2はSiに比べると電子親和力が0.8eV程度小さい。このため、一般的な酸化物(NiO, WO3, MoO3など)とは異なる材料がホール輸送層に適している可能性がある。そのような材料候補を有機ELで研究された材料群の中から選び、真空蒸着法で薄膜を堆積し、物性を調べる。
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