研究実績の概要 |
結合共振器による単一モード化を実現するとともに,光ファイバとの高効率結合,高信頼性,高出力動作を可能にする単一モード面発光レーザの実現を目指し,以下の成果を得た.歪量子井戸の層数,歪量の増大などのウェハ構造の改善を行い,高速化を進めるとともに,メサ径の微小化,絶縁膜の厚膜化によるパッド容量低減などの高速化の工夫を行い,量子井戸数を8層まで増加させ,厚膜ポリミドの絶縁膜を形成により浮遊容量の低減に成功した.室温では,面発光レーザの変調帯域としては世界最速の40GHz以上の高速化を初めて実現した.同時に,酸化開口径5-7umに対してもサイドモード抑圧比30dB以上を実現するとともに,上部反射率の最適化を進めて,5mW以上の単一モード出力を実現した.さらに,2値の変調NRZ,4値の多値変調PAM4での大信号変調を行い,NRZで100Gbps,PAM 4で140Gbpsの高速変調に成功した.さらに,単一モード光ファイバの伝送実験を実施し,プリエンファシスを行うことで,ファイバ長500mでNRZ 100Gbps, PAM4 140Gbpsの伝送にも成功した.5km伝送までは、伝送速度においても、誤り訂正FECにおいて、硬判定復号化が可能な符号誤り率の上限値を下回り,伝送距離は,従来の850nm帯に比べて100倍,伝送距離・伝送速度積は,50倍の500Gbps・kmを達成した.また,結合共振器面発光レーザの波長チャービングを光ファイパを通過させた場合の小信号応答特性から明らかにして,1060nm帯での単ーモー ド光ファイパの伝送距譲を拡大するための方針を明らかにし,200Gbps伝送時の伝送距離を2kmまで拡大する条件を明らかにした.以上,面発光レーザの特色を活かした高密度アレイ化の試作と拡張性を明らかにして,面発光レーザアレイを基盤としたTbps級光リンクの基盤を確立した.
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