研究課題/領域番号 |
21H04557
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
香川 景一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30335484)
|
研究分担者 |
中澤 謙太 静岡大学, 工学部, 助教 (50824520)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
キーワード | CMOSイメージセンサ / マルチアパーチャ / マルチストレージ / 広視野生体計測 / 定量計測 |
研究実績の概要 |
(1) 本研究のコアデバイスであるマルチアパーチャ・マルチストレージコンピュテーショナルCMOSイメージセンサ(MaMs-compCIS)の基本設計を行った.このイメージセンサの主要仕様は3×2アパーチャ,1画素11.2um角の4ストレージ画素, 200×250画素/アパーチャで,画像信号をアナログ電圧で読み出す.アパーチャごとに独立の露光パターンを適用可能とした.また,時間ゲート機能のためにマルチストレージ画素にVODを適用した画素の濃度と各不純物層の厚みについて理論式に基づくモデル化を行った. (2) 波長依存が小さく,小型・高コントラスト・多波長重畳が可能な2値構造照明生成用の光学モジュールのプロトタイプを開発した.本年度は,ストライプパターンの透過マスクを作成し,1次元MEMSミラーにより1次元方向にシフト用できることを確認した.光源としてLDを用い,駆動電流を変調することでスペックルノイズを低減するための基礎検討を行った. (3) 短パルスの2値構造光を生体に照射して得られる時空間的光信号を用いた簡易的なリアルタイムトモグラフィ技術として,ルックアップテーブル(LUT)を利用した時空間周波数領域イメージング(STFDI)の検討を数値シミュレーションにより行った.このために,並列GPU計算機による生体光計測のシミュレーション環境を立ち上げた.血流スピードを計測するMELSCIについて,スペックルパターンの数値シミュレータを作成した.また,その結果を用いて,3層ニューラルネットワークにより血流スピードを推定できることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
利用を想定していたLSI試作サービスが2021年度に行われなかったために,2022年度に設計したLSIを試作することになった.設計については,画素,周辺回路ともにほぼ終了しており,試作スケジュールが決まり次第試作が可能な状態である.画素については,高速な応答スピードと高感度が実現できることをシミュレーションにより確認している.また,今回画素数が多いため画像の読出しスピードが課題となるが,これについても毎秒30枚以上の実用上十分な読み出しスピードが可能であることをシミュレーションにより確認している.したがって,設計上の大きな課題は全て解決されている.なお,イメージセンサ以外の課題であるSFDIとMELSCIのためのカメラシステムの構築,処理アルゴリズムの開発は予定通り進んでいる.従って,イメージセンサの試作が終了でき次第,これらを適用してファントムおよび被験者による実験が可能な状況である.
|
今後の研究の推進方策 |
(1) 本研究のコアデバイスであるマルチアパーチャ・マルチストレージコンピュテーショナルCMOSイメージセンサ(MaMs-compCIS)を試作し,その基礎特性を評価する.計測結果から改善すべき項目の洗い出しを行い,設計にフィードバックする. (2) 2値構造照明生成用の光学モジュールについて,光学素子とその配置を最適化して,小型化する.また,2021年度は1波長のみであったが,光源を3波長化(660 nm, 785 nm, 850 nm)する.LDのスペックル低減のためにLD変調回路を制作する.2次元MEMSミラーを導入することで,投影パターンの2次元位相シフトの検討を行う. (3) 短パルスの2値構造光を生体に照射して得られる時空間的光信号を用いた簡易的なリアルタイムトモグラフィ技術として,ルックアップテーブル(LUT)を利用した時空間周波数領域イメージング(STFDI)を開発する.また,2021年度度開発したSTFDIとMELSCIのアルゴリズムを実験に適用し,その有効性と課題を明らかにする.試作する2×3眼イメージセンサにより取得した画像データから,波長分割多重でSFDIとMELSCIが実行できることを確認する.
|