研究課題
正孔移動度の実験値をデータセットとし、ランダムフォレスト法と分子構造生成システムChemTSを活用した統合システムを構築することで、新規な分子も提案できる有機分子の設計システムの開発に成功した。既存のTADF分子の基底状態(S0)と最低励起一重項状態(S1)、最低励起三重項状態(T1)の構造をDFTやTDDFT法で求めた。特に4CzTPNの構造最適化が難しく、D2hからC2v、C2、Ciへの変化が計算方法に依存することがわかった。S0、S1、T1の幾何学的構造の変位は基底状態の振動モードで分解し、Tn(T1)からS1への逆項間交差の遷移速度やS1からS0への発光強度を計算する手法は完成したが、特定の振動モードが予想よりも大きくなり、double well potentialを用いた定式化を行う必要があることがわかった。ジシアノベンゼン骨格にフタルイミド部位を導入する合成を検討し、芳香族求核置換反応により数種類の誘導体を合成した。光化学反応によりTADF分子を含む有機半導体骨格の骨格構築反応を検討し、機械学習により予測された指標に適合した分子を誘導できた。発光層ホストに最適なアクリレート官能基化カルバゾール系有機半導体の重合で得られた高分子を提案した。当該高分子は、約3.5 eVのバンドギャップと約2.8 eVのT1準位を有し、これを発光層ホストとした緑色りん光溶液塗布型OLEDの作製に成功した。白金(II)二核錯体を基盤とする新規りん光材料を創出し、高い発光量子収率を得た。発光極大が800 nmを超えるイリジウム錯体系近赤外りん光材料を創出した。高速インピーダンス分光系のSN比を向上させるため、新規なTSP法を提案し、実際にSN比が向上した10 Hzから1 MHzまでのインピーダンススペクトルを3秒以内で測定することができた。OLEDの設計手法として量子化学計算で得られた物性を反映させた反実仮想的機械学習が有効であることを示した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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