研究課題/領域番号 |
21H04590
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
正信 聡太郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80373413)
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研究分担者 |
村井 祐一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
高野 慧 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90636820)
山本 マルシオ 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10608631)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 海洋鉱物資源開発 / フローアシュアランス分析 / 超音波計測 / 圧力損失最小化 / 水中線状構造物 |
研究実績の概要 |
海洋鉱物資源開発においては揚鉱ユニットが技術的な中核を担う。揚鉱ユニットの設計及び運用においては、揚鉱管・移送管内のフローアシュアランス(流路保全)分析が必須であるが、管の傾斜や動揺等を考慮した非定常の固液二相流に対するリアルタイム分析技術がないため一連の技術開発を遅延させている。そこで本研究では、超音波計測技術を独自開発し、管内を脈動する固液二相流の流動状況と圧力損失の周波数スペクトル空間での因果関係を解明してフローアシュアランス分析に適用可能な圧力損失推定手法を構築する。さらに、圧力損失を低減可能な制御デバイスを開発するとともに、内部流との相互作用が分析できる水中線状構造物の応答予測手法を構築する。 当該年度は、以下の課題を実施した。 【①圧力損失推定技術の開発】 鉛直管を対象とした脈動流中における時間領域圧力損失推定プログラムの基本アルゴリズムを検討するとともに、過去に構築した定常状態での圧力損失推定手法を用いて、移送管の形状変化が圧力損失に及ぼす影響を調査して、試設計した移送管に対する最適な移送条件(固相体積濃度、平均流速)を設定した。2022年度に実施を計画している、口径25Aの円管を鉛直から水平まで傾斜可能な固液二相流の移送実験計画を策定するとともに、当該実験装置を製作した。さらに、2022年度に検討予定であった口径80Aの円管を用いた移送実験計画も前倒して策定した。また、管内を流動する粗大粒子を位置特定して計数する超音波エコーグラフィの計測技術について基本信号処理アルゴリズムを開発した。 【②圧力損失最小化技術の開発】 超音波スピニングレオメトリー(USR)により固体粒子懸濁液のレオロジーの計測を実施した。 【③水中線状構造物の応答予測手法の開発】 内部流を考慮しない水中線状構造物挙動の応答予測プログラムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「①圧力損失推定技術の開発」では、当初計画をすべて遂行したのに加え、2022年度に予定していた口径80Aの円管を用いた移送実験計画を前倒しで実施しており、当初の計画以上の進展が見られた。 「②圧力損失最小化技術の開発」では、圧力損失に相関性の高い粒子懸濁液の実効粘度測定技術の開発が完了したという点で順調と考える。 一方で「③水中線状構造物の応答予測手法の開発」については、当初の計画では、過去に構築した定常状態での圧力損失推定手法を用いて、水中線状構造物挙動と内部流の相互作用が分析できる連成解析プログラムの基本アルゴリズムを検討することになっていたが、内部流を考慮しない水中線状構造物挙動の応答予測プログラムの検証に時間を要したため、一部未達となった。ただし、当該年度の研究は2022年度の本格的な検討の事前準備という位置づけで実施しているものであり,2022年度以降の研究の遂行に支障は出ない。
以上を踏まえ、研究全体として「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究遂行上、高度な超音波計測技術及び高濃度粒子レオロジー分析技術が必要となったため、2022年度から新たに研究分担者を2名加えることとした。さらに2022年度以降、ワークショップを毎年開催し、外部有識者から、研究進捗における問題点の提起や実装性・学術的価値の評価に対する助言を受け、成果の最大化を図る。 「①圧力損失推定技術の開発」では、圧力損失機構の解明のための基礎データを取得するための複数の口径(25A、50A、80A)の円管を用いた固液二相流の移送実験を実施して、流動様式に対するスケール依存性及び圧力損失の広帯域スペクトル特性に関する調査を行う。 「②圧力損失最小化技術の開発」では、大粒子群中に微粒子を添加した系での4種類の基礎物理実験を実施して、粒子プラグを流動化できる微粒子法を管内固液二相流に適用したときの圧力損失低減効果の範囲を調査する。さらに上記50A管路での移送実験において微粒子を混入させた計測も行う。 「③水中線状構造物の応答予測手法の開発」については、過去に構築した定常状態の圧力損失推定手法を用いて、水中線状構造物と内部流の相互作用が分析できる連成解析プログラムを開発する。
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