研究課題
2023年度は、以下の主たる3つの成果を得た。1つ目は、砂礫で構成された河道の河床に自発的に形成される河床波の発生の発端の特定である。模型実験において水面と河床の細密な測定を行い、河床波の発端は、従来からいわれてきた河床における不安定性ではなく、直線かつ一様勾配の水路においてさえ視認は難しいものの定在的な水面波が存在し、それが河床に転写されることであることを特定した。2つ目は、電磁波を用いて昼夜を問わずに24時間連続に実河川の水面の反射強度を測定し、その時系列データの画像解析を通して水面の流速の平面的な分布を推定する方法を構築した。この流速を用いて流量も推定し、従来手法で得た流量と対比したところ、その差は10%程度であることがわかった。3つ目は、水面流速を入力条件として流体力学の質量保存則を拘束条件とする変分法を計算することで水深を推定する方法を構築した。この方法により、砂礫河川に特有の河床形状である交互砂州上の水深の推定したところ数%内外での推定ができることがわかった。本研究課題の実施により、実河川と模型実験の各々での細密な定量化の手法の見通しが立ち、また、河川物理の機構解明のための新たな着眼点を得た。流体現象は同一地点における流速と水深の同時測定ができれば完全な説明ができるが、本研究から得た成果は、これまで難しかった洪水中の一連の河道の挙動の定量的な把握を初めて可能とし、河川において自発的に形成される河床や河道の機構解明を現実視できる状況に達しつつあると言えるものである。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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