研究課題/領域番号 |
21H04599
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤澤 克樹 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40303854)
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研究分担者 |
鍛冶 静雄 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (00509656)
伊藤 聡 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (50232442)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 数理最適化 / グラフ解析 / 高性能計算 / サイバーフィジカルシステム / 機械学習 / 深層学習 / Society 5.0 / モビリティ |
研究実績の概要 |
本研究では様々な現象や情報の関係を少数の原理から説明可能なユニバーサル多様体学習のアルゴリズムの開発を行うことを目的とする。ユニバーサル多様体学習の適用によってサイバーフィジカルシステム(CPS)の前半部分における実社会の多種多様なデータを抽象化された中間コ ー ドの形(グラフやベクトル表現等)で共有資源化するので、CPS 後半部分においてアプリケーション開発者は、この中間コードから目的に応じた 出力を得る部分のみ設計すればよい。この枠組みによってCPS 前後半の開発が分離可能となり, CPS アプリケーションの開発の高速化と普及が期待できるが、現時点では同様の試みはほとんど見られない。本研究後半では参画企業と合同でユニバーサル多様体学習の社会実装を推進する。 2021年度はユニバーサル多様体学習実現のための基礎研究を中心に行い、ヒト・モノに関するモビリティを表現とする数理モデルとして、時間拡大グラフを用いた最適化モデルの提案と実問題への適用を行った。さらにスマート工場の実現に向けて、工場内のモビリティ最適化のための新しい数理的手法の提案も行った。自動倉庫を含む工場内のモビリティを時間拡大グラフで表現することで、現実的な条件下での運用最適化を目指していく。一回の最適化の対象とする期間は数日から数時間と想定されるため、多階層型意思決定最適化(HDAOS)システムを提案して最適化に必要な実行時間を見積もり、適切なアルゴリズムを選択することが可能となった。今後は HDAOSの適用によって、工場全体のレイアウト設計、モビリティ最適化、カメラやセンサーを使った異常検知などのアプリケーションの実現も目指していく。さらにスマート工場は連続的に稼働しているため、最適化の対象を適切な期間や場所に分割することで、工場全体の最適な連続運用を行うことも考慮していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画の前期(2021年度から2022年度)では各種モビリティデータ(ヒト・モノ・情報・価値等)のグラフ変換技術の確立。特に時空間拡大やグラフ埋め込み技術の活用に重点を置いている。2021 年度では研究実績の概要でも記載したように、時間拡大グラフを用いた最適化モデルの提案と工場への実装を行った。本最適化モデルの社会実装に関しては、株式会社ロート製薬と全面的な協力関係を築いて、同社の三重県内への新工場への適用を進めている。当初の研究計画では、中期以降にスマート工場などへの適用を予定していたが、2021年度から開始出来たことで、当初の計画以上の進展が見られる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況でも記載したように、全体的に当初の研究計画以上に進んでおり、今後の研究に関する推進方策に関して変更の必要は無いと考える。
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