研究課題
本研究では近年透過電子顕微鏡の高分解能観察およびその場観察の分野にて技術的ブレイクスルーを起こした高性能CMOSカメラを、研究代表者が独自に開発した磁区構造変化その場観察手法(動的磁場下ローレンツ顕微鏡法)に適用し、得られるデータの質の大幅な改善を図った。具体的には2048x2048の解像度で100fps,512x512の解像度で300pfsの定量的電子顕微鏡像が得られることになり、粒界や転位などの格子欠陥と、駆動する磁壁の相互作用の詳細がはじめて記録できるようになり、各フレームにおいてデータの定量解析が可能となった。また、強度輸送方程式による磁場の可視化との連携や、電子線ホログラフィーによる電場変動の時間分解評価(タイ国Khon Kaen大学との国際共同研究)などの高速カメラ特性を利用した電磁場解析の周辺技術の開拓を行った。高性能CMOSカメラは先端研究設備プラットフォームプログラム「顕微イメージングソリューションプラットフォーム」で利用できる共用機器の透過電子顕微鏡に設置し、本課題で開発した手法をプラットフォーム課題申請者にも利用してもらう(機器の操作及びデータ解析は研究代表者が行う)ことで、企業や研究機関、大学の多くの研究者とともに、ノイズフィルタ用フェライトコア、新規磁性微粒子、火力プラント用鋼板、自動車用鋼板などの多岐にわたる実用材料・先端材料の評価に本手法を適用した。具体的には組成および作製条件の異なる試料での磁区構造と磁壁挙動の差を可視化や、材料の強度と磁場応答の関係を材料組織と磁壁の運動の関係という微視的な視点からの解明に取り組んだ。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Microscopy
巻: 72 ページ: 455-459
10.1093/jmicro/dfad003