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2021 年度 実績報告書

アルミのサステナブル新技術

研究課題

研究課題/領域番号 21H04610
研究機関東北大学

研究代表者

長坂 徹也  東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30180467)

研究分担者 松八重 一代  東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50374997)
朱 鴻民  東北大学, 工学研究科, 教授 (80713271)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2025-03-31
キーワードアルミリサイクル / 電解 / コンタミネーション / 合金元素 / アルミサステナビリティ
研究実績の概要

アルミは鉱石からの製錬時に莫大な電力を必要とするため、金属として再利用する価値が大きい。そのためアルミのリサイクル率は90%を超えているが、これはあくまで量的な数値である。我々が日常的に使っているアルミ製品は、例外なく銅や亜鉛等の他元素を含むアルミ合金である。元来アルミは活性な金属であり、既存技術ではアルミからの合金元素除去は非常に困難であり、リサイクル回数が増えるほど合金元素の蓄積が起こるため、2次製品の質の劣化が進むのが実態である。現状では、再生アルミの最終用途は、大量の合金元素含有が許される自動車用エンジンブロック等の鋳造製品である。電気自動車の普及が進むと、内燃エンジンの需要は大きく減少し、アルミの最終用途が失われることになる。
研究代表者らは、アルミスクラップを固体状態のまま溶融塩中で電解すると、Cu、Si、Fe等の合金成分をほぼ全て除去することができ、鉱石から新地金を製造する際の約3分の1以下の電力消費で純アルミに再生できることを提案した。本課題では、本法の有効性を実証すると共に、アルミの固体電解技術の電極反応機構他の諸元を明らかにし、革新的なアルミのアップグレードリサイクル技術の基礎を確立することを目的としている。
2021年度は、鋳造用アルミ合金を陽極、純アルミを陰極とし、両電極が融解しない500℃前後の温度において、LiCl-KCl二元系溶融塩中で電解実験を行った。その結果、陽極からはアルミのみが溶融塩中に溶解し、陰極にはほぼ純粋なアルミが析出することが確認された。これによって本法の基本原理が確認でき、論文としてNatureに投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、鋳造用アルミ合金を陽極、純アルミを陰極とし、両電極が融解しない500℃前後の温度において、LiCl-KCl二元系溶融塩中で電解実験を行った。その結果、陽極からはアルミのみが溶融塩中に溶解し、陽極には合金中のCu、Si、Feによる合金層のみがスケルトン状に残留していた。同時に陰極にはほぼ純粋なアルミが析出することが確認された。並行して行った電気化学測定により、アルミが可逆的に溶解、析出することが確認できた。新型コロナウイルス感染症拡大により、予定していた外国人ポスドクの来日が遅れたため、一部の研究費を翌年に繰り越したが、現員で後れをカバーしたところ、2021年度は大略当初計画通り進捗した。これらの成果をまとめ、本法の基本原理としてNatureに論文投稿した。

今後の研究の推進方策

2022年度には計画通りのポスドクが雇用できる見通しであるため、処理対象であるアルミ合金の種類を広く変更して電解精製の効率を系統的に調べると共に、より廉価で汎用性が高い溶融塩を開発して実用化に近づける。また、サイクリックボルタンメトリー等の実測を行い、アルミの溶解、析出機構を電気化学的に明らかにすると共に、反応が可逆的に進行することを確認する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [産業財産権] 再生アルミニウムの製造方法、製造装置、製造システム、再生アルミニウム、及び、アルミニウム加工物2021

    • 発明者名
      長坂徹也、竹田 修、朱 鴻民、平木岳人、ルー シン
    • 権利者名
      長坂徹也、竹田 修、朱 鴻民、平木岳人、ルー シン
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2021/39898
    • 外国

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公開日: 2023-12-25  

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