研究課題
本研究において打ち立てた以下2点の化学設計指針に従って、研究計画におけるロードマップに設定したとおり、「有望物質の探索」に取り組み、また同時進行で研究の次段階ステージとなる「薄膜試料作製」の本格実施のための準備を行った。・高対称性結晶(具体的にはペロブスカイト型構造)中に意図的に「非結合性軌道」を導入し、適切なバンドギャップと、p型にもn型にもドーピングが可能な電子状態を実現する。・高効率化に不可欠な直接遷移型にするために、長周期構造を利用したバンドの折りたたみを利用する。その結果、SrHfS3と同型のペロブスカイト構造を有するBaZrS3を作製してバンドギャップを見積もったところ、狙い通り、SrHfS3よりも小さくなり、1.85 eVであることを明らかにした。そして、第一原理計算で吸収係数を計算したところ、光吸収層としては理想的な10^6 cm^-1に達することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
同型構造を有するBaZrS3が新たな有望物質であることを見いだすことができている。また、研究の次段階ステージとなる「薄膜試料作製」実験の本格実施のための準備についても順調であり、2022年度の早い段階で実際に着手開始できるところまで到達している。
・引き続き、設計指針に合致するペロブスカイト型カルコゲナイドおよび関連化合物を網羅的に合成し、第一原理計算を併用しながら、目的に合ったバンドギャップを有する有望物質候補の試料合成および評価を行う。・電子構造およびバンドギャップの絶対値の観点から見いだした有望物質に対して、p型にもn型にもドーピングが可能であることを実験的に実証する。・とくに太陽電池応用では、更なるバンドギャップ制御が必要不可欠であることから、CBMとVBMを決めている軌道に対して、適切で意図的なモディフィケーションを加える。・既に見いだしたSrHfS3やBaZrS3の薄膜合成実験を開始する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
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