硫化亜鉛単結晶は、通常の白色光下では数%の塑性歪みを示したのち急激な破壊を示す(光硬化現象)のに対し、暗室下では10倍以上の塑性歪みを示す。この申請者らの成果により、従来から脆いと考えられてきた無機結晶であっても、光環境を変えることで、機械的性質を大きく制御できる可能性が広がったといえる。本研究は、この現象の起源を電子・原子レベルで解明した。半導体やセラミックスの無機結晶は、その結晶構造および化学結合性により硬くて脆いと考えられてきた。その常識を覆す成果に対する基本原理を提示したという点で、学術的意義は大きいといえる。
|